組体操のけがは避けられない 中止したほうがよい

参加者と意見を交わす内田准教授(右)と庄古医師(左)
参加者と意見を交わす内田准教授(右)と庄古医師(左)

「組体操事故問題について考える勉強会」が2月3日、衆議院第一議員会館で開かれた。呼びかけたのは、元文科相の平野博文議員ら超党派の衆議院議員。「組体操は内側から崩れる。教員は外側にいるので、崩れたら防ぎようがない」など、組体操事故の実態や問題点、けがの詳細、教委に事実が伝わりにくい現状などが語られた。

講師として呼ばれたのは、名古屋大学大学院教育発達科学研究所の内田良准教授と、松戸市立病院救命救急センター長の庄古知久医師。それぞれが「巨大組体操のリスク」と「医師の立場から見た問題点」を発表した。

内田准教授は、「そもそも『巨大ピラミッドやタワーを安全に指導しましょう』と呼びかけるのが間違い」と発言。巨大な組体操を安全に行うのは無理だと主張。

ピラミッドは、昔は1段1列の平面型だったが、今は、1段数列でつくっていく四角錐型。土台の子にはかなりの重さがのしかかる。10段ピラミッドで土台の負荷は最大3.9人分、11段では4.2人分にもなるとした。

その上で、「学校側は『周囲に教員を配置している』と安全性を語るが、周囲に教員がいても、子どもにかかる負荷は減らないし、教員は落ちてくる子どもを受け止める練習をしていない」と言及。

庄古医師も「ピラミッドもタワーも中から崩れるのに、教員を周囲に配置しても助けられるわけがない」と訴えた。

組体操事故によるけがの実態については、「同じような事故でも、軽症の場合と重症の場合がある。5段ピラミッドでも、3段タワーでも重症を負ったケースがある。高さ制限の問題ではなく、組体操の取り組み自体を中止したほうがいい」と提言した。

組体操事故の診療・調査をして、▽学校の他の運動競技と比べて事故件数が多い▽頭頸部の損傷が多い▽軽量で敏捷性の高そうな児童生徒の受傷が多い(上段に乗るため)▽転落した原因に本人の過失がない――などが判明したという。

組体操のタワーでけがをして複数回の手術を受けた子どもの保護者は、「重症の子どもが出ても、学校は運動会本番まで練習を続ける。学習指導要領にはない組体操を、どうしてやめられないのか」と痛切に訴えた。

「前任者が続けてきた伝統があるので、自分の代でやめることはできない」「地域の期待が重圧となってやめられない」「運動会の準備に時間が取れず、安全性を議論する時間がない」など、学校が抱える問題も明らかになった。

学校側が組体操の事故を教委に報告する際、事実を隠蔽する傾向があるのも判明した。土台の子がふざけていたとしても、報告書は「上に乗った子がバランスを崩した」などとまとめられたり、事故時に近くにいなかった教員が、近くで監視していたと表記されたりする場合があるという。けがをした子どもの保護者が教委に通って訴え続け、やっと事実が明らかになったケースがある。それでも、学校は一切謝罪をしなかったといったケースも。

従来から、教員や保護者の間で、「組体操は感動する」「子どもに一体感を」など、危険性を無視して価値を説く声があった。「体育にけがはつきもの」と、組体操での事故を重く受け止めない人もいた。

庄古医師は「指導しながら工夫していくとか、そのような問題ではない。組体操は、個人の力が及ばないところで土台が崩れ、上に乗った子がけがをする。その下敷きになって、土台の子もけがをする。自力では回避できない」と問題点を力説した。

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