減災教育が重要 「釜石の奇跡」が証明

阪神・淡路と東日本の両大震災を振り返って意見が交わされた
阪神・淡路と東日本の両大震災を振り返って意見が交わされた

災害が大きくなればなるほど防災は難しく、減災が有効。教育が大事――。「震災対策技術展」横浜実行委員会は「第20回震災対策技術展」(内閣府(防災担当)、文科省、国交省など後援)を2月4、5の両日、横浜パシフィコで開催。初日には特別シンポジウム「巨大災害への備え―社会・技術・人」が行われ、過去を踏まえて将来に備えるポイントが討議された。

「災害と教訓と防災・減災の取り組み」をテーマに基調講演した大西隆日本学術会議会長は、「釜石の奇跡」を取り上げ、減災の有効性を指摘した――。

東日本大震災で「釜石の奇跡」と呼ばれた避難行動は、教育と訓練のたまもの。三陸にある六十数カ所の小・中学校は海に近く、津波被害を受けた。釜石市内の小・中学校では、全児童生徒合わせて3千人ほどが、すぐに避難を始め、逃げ切った。地震が起きたら、とにかく高いところに率先して逃げる。その思想を子どもたちに身に付けさせた日頃からの減災教育こそ有効だった。

岩手県はこの100年間で、昭和8年の昭和三陸地震、昭和35年のチリ地震の津波によって大きな被害を受けた。その後、防災対策を実施した。100の集落を高台の安全な場所に移転し、防潮堤や防波堤など金がかかるものも、チリ地震後に盛んに建設した。この2つの対策で、津波被害からは免れるはずだった。

ところが、東日本大震災で防潮堤や防波堤は突破され、高台まで津波が押し寄せた。無傷だった集落は2カ所だけ。あとは壊滅的打撃を受けた。結果として、有効な防災対策とはいえなかった。想定を超えれば、防災施設は被害から人々や家屋や財産、工場などを守れない。だから、被害を最小で済ませ、人命だけは守るとの減災の思想が有効だ。

――などと語った。

パネルディスカッションでは、重川希志依常葉大学大学院環境防災研究科教授が、「災害が大きくなると自助、共助の割合が公助よりも高くなる」と、阪神・淡路大震災を振り返り、「この大震災では、建物の下敷きになった犠牲者が多かった。救助をしたのは近隣の人たちで、自衛隊など公的機関による救出は少なかった。いざというときは自助が7、共助が2、公助は1。災害時に最も有効なのは自助である」と説明した。

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