所得連動返還型奨学金 最低返済月額2千~3千円に

さまざまな意見が交わされた有識者会議
さまざまな意見が交わされた有識者会議

文科省は2月5日、年収に応じて月々の返済額を決める「所得連動返還型奨学金制度」の導入を検討する有識者会議を開催。素案が取りまとめられた。同制度は年収に比例して徐々に返済月額が増える仕組み。

それによると、年収がゼロから150万円程度より少ない人は月額2千円~3千円を最低返済額と設定。年収がそれ以上の人については、マイナンバー制度を利用して債務者の所得を把握し、その所得に連動させて返済月額が決まる。

無利子奨学金から先行導入する。運用状況をみながら、将来的には有利子にも制度を広げていく考えだ。

中間取りまとめの段階では、対象者には所得要件を設けないとして、低所得者に配慮する形となった。課税対象所得から所得控除して算出される返還率は9%と10%に絞り込まれた。
返還率9%のケースでは、年収300万円で8500円、同400万で1万3100円と返済額が増加していく。

返還猶予要件には年収300万円以下と制限を設けた。猶予期間は10年。災害・傷病・生活保護受給などの理由により支払い不可能となった場合は期間制限なしとした。

定額制度も残し、申し込み時には返還方式を選択できるようにした。卒業までは変更可能。借り主の支払い保証は原則、機関保証とした。

今後はパブリック・コメントを実施した後に、今年度末までには最終取りまとめを行う見通し。平成28年度の運用開始を目指す。

ただ、会議ではさまざまな意見が飛び交い迷走している状況で、結論を出すのは難しい状況だ。債務者が海外移住した場合の所得把握や経済情勢による制度設計の見直しなどをどうするのか、課題は山積している。

新制度は同省の外郭団体「日本学生支援機構」の奨学金が対象となる。長引く不況の影響もあって、現行制度では、多くの延滞者が存在しているのが現状。どのように回収率を上げるかが大きな課題となっている。

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