目的と手段の混同は厳禁 ESDで教育を変える

ESDの今後について議論した
ESDの今後について議論した

文科省は2月8日、「持続可能な開発のための教育円卓会議」の第2回会合を、都内で開いた。わが国における「持続可能な開発のための教育(ESD)に関するグローバル・アクション・プログラム」実施計画(案)について議論。「ESDとアクティブ・ラーニング(AL)の関係性で、目的と手段が逆になっては困る」「ESDの『E』の位置付けが弱い」などの意見が表明された。

議論冒頭、委員から、「実施計画の中に、ALという言葉が入っていない」と指摘があった。それについて別の委員は、「文科省はALだけを押し出そうとしているのではない。教科等間の往還や、主体的な学習プロセスが大事で、その中にALがある」と語った。

これを受け、宮城教育大学国際理解教育研究センター協力研究員の及川幸彦議長は「ALをするのがESDだとすり替わる傾向がある。ESDは目的で、ALは手段。逆になっては困る」とまとめた。別の委員からは、実施計画に「体験活動を通じたESDの推進」の項目がある点について、「体験や地域での活動も大事だが、この表記だと体験活動をするのがESDだと思われてしまう懸念がある」と、議長と同じ視点での指摘があった。

全国小中学校環境教育研究会副会長の棚橋乾委員は、「実施計画を見ると、学校教育の位置付けが弱いと感じる。ESDの『E』は教育であるから、学校教育の中でどうしていくべきかを柱立てて記載するべき」と述べた。他の委員も「教育の再方向付けについての記載が弱い」と、同様の意見を表明。教育が変わっていくというESDの大きなねらいにフィットした記載が求められた。

東京都江東区立八名川小学校長の手島利夫委員は、実施計画の「教育者」の項目にある「大学の教育学部等において、その自主的な判断のもと、ESDについて取り上げることを推奨する」との表記に異議を唱えた。「『自主的な判断』や『推奨』ではいけない。『助言する』や『指導する』としなければ、学校教育は変わらない」と言及。「教員が変わらない限り、授業は変わらない」と念を押した。

議論では、ESDの普及に関して、より一層の広報活動を求める声があった。これを受けて及川議長は「ESDを広げるための広報、エビデンスを共有するための広報が重要」とした。

棚橋委員は、文科省が広報のチャンスを逃していると指摘。「ユネスコ/日本ESD賞について、パリでは華々しく表彰されたのだろうが、日本ではその詳細が分からない。受賞者を日本に招いて講演をするなどしてほしい」と提案した。

今会合では、「ESD実践の手引(仮称)」についても議論。委員からは「この手引は教委の指導主事や学校管理職を対象にしているが、学校現場以外でも使えるのではないか」との質問が出た。事務局は、現段階では学校を想定と回答。これを受けて及川議長は「ESDは学校だけでできるものではない。地域や専門機関も関わる。広く周知してほしい」とコメントした。

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