はっぱのおふろに入りたい! 児童の思いで授業形成

実践事例を発表する木下教諭
実践事例を発表する木下教諭

東京都江東区立八名川小学校は2月6日、第4回ユネスコスクールESDパワーアップ交流会(後援・教育新聞社ほか)を開催。分科会では、ESD実践校などが事例発表を実施。その後、講演や、参加者が自由なやり取りをする交流会を行った。

分科会で発表をしたのは同校のほか次の学校。

▽埼玉県所沢市立宮前小学校▽南九州大学人間発達学部▽福岡県大牟田市立吉野小学校▽愛知県あま市立甚目寺小学校▽奈良県奈良市立富雄第三小中学校▽滋賀県彦根市立城西小学校。

各校が独自の実践事例を発表。その中で、交流会で多くの教員が興味を持って質問を投げかけたのは、所沢市立宮前小学校の木下智実教諭による形成的授業の取り組みについてだった。

木下教諭の発表は、1年生の生活科で実施した「きーちゃんせんとうをつくろう」。「きーちゃん」は、この取り組みを提案した児童のニックネーム。はっぱのおふろづくりに向けて活動した。

この取り組みは、生活科の「あきさがし」の単元が発端。児童と公園に行くところから始まった。

同教諭は、意図的に「木登りができる公園」と「木が少ない公園」の2つを選んで児童を引率。その後、「公園にあるものって、自然のもの?」と問いかけた。児童の意見は、「木はしぜんだけど、ブランコとかはこうえんの人がつくった」「木はしぜんじゃないよ。こうえんの人がうえたんだよ」と割れた。

そこで、市役所の担当者にインタビューを決行。児童は、公園の木が人の手によって植えられていると知った。その際に担当者が述べた「木が人の生活を豊かにする」という言葉に着目。同教諭は、児童に「木が人の生活を豊かにするって、どういうこと?」と問いかけた。

児童は「木ともっとふれあってかんがえよう!」と提案。学級で話し合い、▽木の種類を調べたい▽木の実を食べたい▽木で遊びたい▽木で何かつくってみたい▽葉っぱで打ち上げ花火をしたい▽どんぐりを集めにいきたい――など、やりたいことをまとめた。

そのひとつに「はっぱでえをかく」取り組みがあった。その作業をしている最中に、「きーちゃん」が発案した。「せんせー、はっぱでおふろをつくってみんなで入りたい!」

「きーちゃん」は、自分で設計図を引いて持ってきた。学級の友達の前に立ち、「ダンボールにはっぱを入れて、おふろをつくって入ろう!」とプレゼンも行った。「きーちゃん」と仲間の熱心な提案に、最後は学級の全員が納得。同教諭はこれを尊重し、当初の、自ら立てた指導案を白紙に戻した。児童の意見を取り入れて、指導計画を再構築した。

児童は「きーちゃんせんとう」に入った感想を、「はっぱが、あったかくて、きもちよかった」「おちばの音が、よかった」「木はいいにおい」などと発表。「木があると、あそびがおもしろくなる」「木はつくえにもつかわれていて、せいかつとつながっている」など、教諭からの「木が生活を豊かにするとは」という問いに、児童は児童なりの答えにたどり着いた。

所沢市では、市内の小・中学校の教員が数人選抜され、ESDの研究員を務めている。木下教諭もこのメンバーで、日々ESDの普及に尽力している。

同教諭はこの実践について、「人の手によって木が植えられている意味をきっかけに、自然と共生していく大切さを学ぶ素地を育みたい」とした。

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