特別支援の観点で体育を論議 周囲への指導が重要

保健と体育の現状と課題などを共有した
保健と体育の現状と課題などを共有した

中教審初等中等教育分科会教育課程部会は2月10日、体育・保健体育、健康、安全ワーキンググループの第6回会合を、文科省で実施。体育科・保健体育科での特別支援やアクティブ・ラーニング(AL)について議論した。「支援が必要な子の周りにいる子に対する指導が重要」「体育のALで足りないのは『目標設定』と『ふり返り』」など、さまざまな課題が述べられた。

前半は、特別支援教育の観点から必要な支援について議論した。事務局からは、課題として、▽体育活動による事故を恐れるあまり、十分な活動(学習)の機会を与えていないのではないか▽他の児童生徒との円滑な関係を構築するための指導が十分にされていないのではないか――などが挙げられた。

委員からは「専門的な医療知識がない中で、どこまで指導していいのか」など、現場の不安に理解を示すコメントがあった。一方で、内臓疾患児や身体障害児が授業に参加するための方策についても、さまざまな提案がなされた。「技能だけでなく、多様な関わり方を評価できるように」「身体に障害があっても、試合の戦術を練るのは可能。それを指導者が共有するのが大事」などの意見が出た。

他の児童生徒との関係については、「障害は多様で、周囲の子や、場合によっては指導者でも理解できないことがある」「障害児本人だけではなく、周りの子に対する指導が重要。そこから、『自分にできることは何だろうか』と考えるようになる」など、まず相手を理解するのが重要と語られた。

「健常者が障害者スポーツを経験するといい」「障害者マラソンの伴走など、健常者の方が喜びを感じられるような経験ができればいい」との意見もあった。

障害のある子が、固執性などから勝ち負けにこだわったり、負けた際に感情を抑えられなかったりする場合も、「本人への指導だけでなく、それを取り巻く子どもたちへの指導が大事」とされた。

これらの議論について「勝ち負けにこだわれと指導する教員もいる」「体育大や体育学科出身の教員の中には、障害者スポーツの体験などを『体育ではない』と感じる人もいる」など、現場の教員の指導法や気持ちをおもんぱかる場面があった。

「特別支援学校」「特別支援学級」「通常学級」で状況は大きく違うが、現行の学習指導要領や大学の保健体育教育法は、健常者を前提につくられている。通常学級においては、体育教育の目指すところを担保しながら、支援をする難しさが浮き彫りになった。

ALについては「体育では今までもALをしてきた。そこにあらためてALという言葉が出てきて起きる混乱もあるのではないか」との感想があった。これを受けて事務局からは、「教員が課題を提示し、子どもが繰り返し練習をし、できたかどうかを評価する――という授業は、ALではもっとやりようがあるのでは」と指摘された。

「教員は真面目だから、ALと言われるとそれにとらわれてしまう」との意見があったが、「本来あるべき授業は、これまでもこれからも変わらない」との見解もあった。「体育におけるALで足りていないのは『目標設定』と、それを達成したかの『ふり返り』。これができれば、質の高い授業ができ、学びも深まる」と言及した委員がいた。子どもが課題を設定するにあたり、教員自身はどう指導・評価するのかも課題とした。

関連記事