高校の通級設置は校内か他校か 協力者会議の模索続く

協力者会議ではまだまだ多様な意見が
協力者会議ではまだまだ多様な意見が

高等学校における特別支援教育の推進に関する調査研究協力者会議の第5回会合が2月16日、文科省内で行われた。通級による指導について、論点整理案が検討された。

通級の対象となる生徒について、永妻恒男さいたま市立大宮南中学校長は、「校長や校内委員会だけで判断すると、各校独自となり、ばらばらになる。第三者のチームが決定するといったステップが必要なのでは」と指摘した。

大南英明全国特別支援教育推進連盟理事長も、「他校通級の場合は、ことに都道府県教委などの設置者が中心となり、専門家チームによる決定が大事。判断を間違うと、その後の指導が大変」と指摘した。

中田正敏明星大学教育学部講師からは、「現状の高校教師の理解では、通常の学級でうまくいかない生徒を通級に行かせる危険性がある。それでは、インクルーシブ教育の反対だ。これまでも学習についてこられない生徒を退学させる例が現にあった」との意見が出された。

大南理事長は、「彼がいないから助かった、教室が落ち着いていいといった面が露骨に出るのはよくない。生徒自身が抵抗を感じず、学級全体が特別な指導への理解を持つのが大事」とし、教師、生徒、保護者の理解への啓発が大切だと話した。

通級は各校に設置し、校内通級がベストなのか。これについて永妻校長は、「案には明記されていないが、高校における通級は、校内通級が基本だと思う。入学試験で受け入れた生徒を卒業させるのが教師の役目なので、自校の生徒の困難さにはなんとか対応しようとする。他校の生徒が来ては、教師のモチベーションが違ってくるのでは。同じ障害種でのグループ学習はスキルアップに役立つ。そうなると自校だけでは人数がそろわなくてできない。その面では他校通級のメリットがある」と、両者によい面があるとした。

水野忠輝静岡県教育委員会高校教育課指導主事は、「生徒の心理的な面から他校通級の意義も感じる。静岡県では、県のコミュニケーション学級があり、県内から生徒が通ってくる。生徒の感想を聞くと、他校の友達ができてよかったとの声がある。自校通級は小回りがきく良さがあるが、新たな友達ができるのもいい」と語った。

主査を務める岩井雄一十文字学園女子大学人間生活学部教授は、「地域によっても異なるだろう。そこを生かしながらタイプの違う通級がつくれれば。現段階ではいろいろな設置が考えられる」と話した。

障害への対応を教育の場だけで行うのか。

三代恵里子島根県教育庁特別支援教育課指導主事は、「高校卒業後、就労については他機関が関わってくる。その後の移行支援計画は、他の機関との連携が大事」とし、中田委員も「障害への対応は教育の場面だけでは無理。他機関との連携が必須」と強調した。

岩井主査は「特別支援教育の制度はまだ十分ではない。学校だけでなく教育委員会、国も考えていかなければ」と結んだ。

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