川崎中1殺害事件1年経過 地域住民らが意見交換

地域教育会議のメンバーが参加し、講演やグループ討議が行われた
地域教育会議のメンバーが参加し、講演やグループ討議が行われた

地域住民と教職員らが語り合う「川崎市地域教育会議交流会」が2月20日、同市内で開かれた。この日は、上村遼太さん(当時13歳)が多摩川河川敷で刺殺されて1年が経つ。事件をきっかけに、学校や地域社会がどのような対策を講じてきたのかを振り返った。

教職員や地域住民、PTAなどで構成される地域教育会議は、川崎市独自の団体。近隣で起こった問題などを情報共有するのが目的。現在、市内7区と全中学校区51カ所に設けられている。

昭和55年に予備校生が金属バットで両親を殺害した事件を契機に組織された。

平成12年から開催されている交流会は今年で16回目を迎える。今回は例年よりも多い116人が参加した。

はじめにNPO法人日本こどもの安全教育総合研究所の宮田美恵子理事長が基調講演した。テーマは「安全文化の創出を」。

宮田氏は犯罪が起きる環境を生み出す「割れ窓理論」を引き合いに、「道路や歩道にあるごみを放置するだけで、犯罪の原因になりえる」と語り、町並みの環境整備の充実を求めた。

さらに「地域住民が積極的に子どもたちに声を掛ける行為が、犯罪防止に役立つ。子どもがたばこを吸ったり酒を飲んだりと大人化している。大人がもっと見守っていかないといけない」と呼び掛けた。

続いて、学校教育や青少年指導などの立場から非行の防止策を報告。

このうち、学校現場からは、同市立中野島中学校の阿部直樹教諭が、子どもたちを取り巻く環境の変化について発表。スマホなどの長時間使用が「不登校や学力低下の原因となる」として、情報モラル教育の重要性を訴えた。

生前の上村さんにもふれ、「子どもたちの居場所を提供している子ども夢パークに通っていた。だが、いつの間にか来なくなった。振り返れば、前兆的な行動だった」と当時を語った。

上村さんが通っていた中学校の事件後の様子については、「事件の話にふれると緊張感が漂う。だが、落ち着いた状況となった」と説明。

また「上村さんのような被害者を生まないために、学校と地域と行政が一体となって、子どもの居場所を作ることが大切だ」と再発防止を誓った。

このあと、地域教育会議のメンバーらが、青少年の非行防止と上村さんのような被害者を出さないために、見守りなどの地域対策ついて議論を交わした。

交流会終了後に渡邊直美教育長は、「地域ネットワークが子どもたちの力になってくれればいい」と、地域社会の協力を要請。さらに「2月20日は忘れられない。忘れてはいけない日。事件を風化させていはけない」とも語った。

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