いじめは見えにくい社会問題 4教育大学がシンポ

いじめを疑ったら一歩を踏み出し、早期対応をと語られた
いじめを疑ったら一歩を踏み出し、早期対応をと語られた

宮城、上越、鳴門、福岡の4教育大学は2月21日、「いじめ防止支援シンポジウム」(後援・教育新聞社ほか)を都内で開いた。講演やディスカッションなどを実施。「いじめは見ようとしなければ見えない」「ラインのいじめは証拠が残ると教えれば抑止になる」などの意見が語られた。

森田洋司鳴門教育大学特任教授は、「いじめ防止対策推進法制定3年目を迎えて、今、あらためて問い直すべきこと」を主題に基調講演をした。

まず、法によるいじめの定義を確認。いじめの認定には、故意性や継続性を問わないと解説した。悪意がなく、善意や無自覚による行為でも、その行為が向かう児童生徒が心身の苦痛を感じたら、いじめとされる。

森田特任教授は、「いじめは、見えにくい構造の社会問題」とし、「見ようとしなければ見えない」と訴えた。いじめによる大きな事件が起きると関心が高まるが、それが持続しないのを問題視した。

また、いじめは謝罪をもって解消したとされるが、その後のフォローが重要と強調。「いじめはどこでも起きるが、それが止まりやすい国かどうかは、その国の教育力と国民の成熟度の指標」と言及した。

ディスカッションは、「ネットいじめと教師の対応」を主題に行われた。

滝充国立教育政策研究所総括研究官は、「ラインをめぐるトラブルが増えているのは事実だと思うが、それを全てネットいじめと言ってしまっていいのか」と発言。ネットにおけるトラブルといじめを一括する危険性を指摘した。

その上で、ラインでのいじめをなくすための指導方法を提案。「児童生徒に、『ラインで嫌なことがあったら、その画面を記録しておきなさい。見るのも嫌だから消そうなんて思わないで。誰に相談するか、訴えるか訴えないか、それは後の問題。とにかく消さずに保存して』と徹底して教える」とした。ばれるかもしれないと思えば、ラインでいじめをする子は減ると主張した。

ネットに言葉を書き込む怖さを十分に理解させた上で、「『そのまま流出しても構わないと思う内容以外はラインに書くな』『連絡網は連絡網以外の用途で使うな』と、まず最初に教えるべき」と力説した。

滝総括研究官はいじめの対応について、早期発見ではなく、早期対応を課題に挙げた。「発見が遅れているのではなく、気付いたときに問題にできていない」と警鐘を鳴らした。

「おかしいと思ったら組織に上げて、そこで判断。怪しいと思ったら、ひとりで判断しないで、複数人の目で見る」と、解決策を強調。「するべきことをしていないのが問題」と訴えた。

高橋知己上越教育大学准教授は、加害者論を語った。「どの時点でいじめが解消したとするかを考えたとき、加害者ケアの視点がなければならないのでは。加害者が被害者の心を捉えたり、反省したりするのを促す教育プログラムを考えていくのも、これからの研究の在り方のひとつの視点」と示唆した。

シンポジウムは、今年度に実施した「BPプロジェクト」の総括として、事業の周知と取り組みの拡大を目的に開催された。「BP」とは、Bullying Prevention=いじめ防止。いじめ問題に関して特色ある取り組みをしている4大学が昨年4月、文科省特別経費の事業として、教委や学校を支援するために同プロジェクトを立ち上げている。

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