デジタル教科書の課題検討動向を語る 堀田東北大教授

教科書制度や著作権の問題が示された
教科書制度や著作権の問題が示された

デジタル教科書教材協議会は、現在の「デジタル教科書」の制度化などに関する議論を踏まえ、普及に向けた制度上の課題や克服の方向性、アイデアなどを話し合うシンポジウムを2月22日、東京都港区の山王健保会館で開いた。

前半は、東北大学大学院情報科学研究科の堀田龍也教授が講演。複数の検討会議の動向を解説しながら、浮き彫りになっている課題点などを示した。

教科書検定や無償措置に関する法律などを踏まえ、平成25年に閣議決定した第2期教育振興基本計画では、デジタル教科書や教材のモデルコンテンツの開発などと合わせ、デジタル教材などの標準化が提言された。27年の教育再生実行会議では、教科書のデジタル化推進に向けた教科書制度や著作権の在り方の課題について、専門的な検討を行う流れが生まれた。

その上で、同教授を座長とした「デジタル教科書の位置付けに関する検討会議」の立ち上げと議論について語った。

教科書は、原則的に全内容を学習する使用義務が課されているが、教科書として位置付けるデジタル教科書はその範囲をどう考えていくかや、紙の教科書と同一のデジタル教科書に改めて検定を課すか、膨大な情報や外部サイトとの接続などを含むデジタル教科書の全コンテンツへの検定が可能かなどの問題が話し合われ、浮き彫りになったとした。

このような点をにらみながら、デジタル教科書の利用場面や課題を整理。使用効果では、紙の教科書にはない動画、音声、拡大、書き込み機能の活用による学びの充実の一方、保護者などが抱える同教科書による書いたり考えたりする力の欠如などの不安に対応する視点を指摘した。

デジタル教科書の構成要素では、コンテンツとビューアの標準化をすべきかという課題に加え、同教科書の写真拡大や音声読み上げ、リフロー機能などが加わっても紙の教科書と内容が同一ならば、改めて検定をする必要がないかなどの問題点が出ているとした。

その他にも、紙とデジタルの教科書の両方を、無償措置するのは困難である点や、デジタル教科書の配信供給に対応した著作権の権利制限の在り方などの課題が取り上げられているとした。

法律が関わる課題については、関係機関との中長期的な検討が必要である一方、取り組める内容を同協議会などと見いだし、進めていきたいとの決意が聞かれた。

一方、同協議会の片岡靖参与は、教育クラウドを通じた自由な学習コンテンツとのアクセスに必要な個人情報の課題などを指摘。

ベネッセ教育総合研究所の新井健一理事長は、学校のICT活用の現状として、▽セキュリティの不安からクラウド利用を控える傾向がある▽学校の備品となるので子どもたちがタブレット端末などを自由に持ち出せない▽整備予算の用途が具体物などに限定され、クラウドでの教材利用が進まない――などの課題をあげた。

一方、2045年の未来の学びを自由な発想で思い描いた子どもたちの数々のアイデアを披露。知識のインプットを機械に頼りながら、習得した知識を現実の社会課題の解決に生かすなど新たな学びのデザインが示される中で、将来を見据えた「IoT」(Internet of Things)教育の視座を見据えた夢の創造が語られた。

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