最低返還額や返還猶予 パブリックコメント軸に議論

賛否を見据えて議論が交わされた
賛否を見据えて議論が交わされた

今後の社会状況に対応した新たな所得連動返還型奨学金制度について考える第7回有識者会議が2月29日、東京都港区の東京工業大学キャンパスイノベーションセンターで開かれた。同制度の素案に寄せられたパブリックコメントを踏まえて論議が進められた。最低返還月額や返還猶予の申請可能所得などに関する意見を考慮し、委員が考えを述べた。

マイナンバーの活用による返還者の所得把握が可能な環境整備を前提に、新たな奨学金制度では、卒業後の所得水準に応じて毎年の返還額を決められる方法などを検討。素案では、「新所得連動返還型」「定額返還型」の2通りを、奨学金の申し込み時に選択できる制度が示されている。

パブリックコメントは2月10日から23日にかけて実施。対象学校種、奨学金申請時の家計支持者の所得要件、返還率や期間など、新制度への賛否やアイデア、要望などが430件集まった。

寄せられたコメントでは、素案の、有利子の奨学金制度導入に先立つ「無利子奨学金の先行導入」には賛意が示された。「申請時の家計支持者の所得要件は設けず、全員に適用可能とする」についても、多くの賛成が得られた。

最低年収と返還開始の関係では、現行制度通り、「年収0円でも返還開始に賛成」の一方、「年収0円生活者に返還を求めるべきではない。生活保護基準と同額に」「返還開始の最低所得金額は、現在、経済的困難として返還猶予が認められている年収300万円とするべき」などの賛否があった。

最低返還の月額として2000~3000円を設定した案では、「現在の経済状況下で賛成。月額変更の根拠となる経済成長率など大まかな指針を追記すると良い」に対し、「非課税所得の人や収入がない人にとっては負担が重く、支払いをさせるべきではない」の反対意見が示された。

返還率を9%または10%に設定した点では、「現状は賛成。しかし、GDP成長における貨幣価値と個人所得が必ずしも相関しない予測があり、決定に疑問。しかし、妥当案が見当たらず、将来的には根本の見直しが必要」が投げ掛けられた。

返還者が被扶養者になった場合の収入を個人、家族のどちらで考えるかでは、素案の「返還者が被扶養者になった場合、扶養者のマイナンバーの提出を求める」と「同ナンバー提出と返還者、扶養者の収入合計が一定額を超えない場合は、新所得連動返還型による返還を認める」を提案。多様な意見が集まった。

これらのパブリックコメントに対して有識者委員からは、▽公平性の観点から家族主義の採用は必要▽任意の扶養者マイナンバー提出には反対。婚姻後の住民票に基づいた家族の所得証明を任意で提出するのが良い▽離婚などで被扶養者でなくなった際には所得連動型返還に戻るのを認める――などの意見が述べられた。

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