文科省は3月3日、生涯学習分科会を開いた。この日は、第2期教育振興基本計画(平成25年度から29年度)の成果目標として掲げられているコミュニティ・スクール(CS)の普及や読書活動の推移などの現状と課題について、議論が交わされた。「教員を目指す学生の自然体験の不足」や「子どもたちの個性を伸ばすべきだ」などの声が聞かれた。
委員からは、同計画で示されている生涯学習関連で体験学習や読書推進などの目標を示した「自立・協働・創造に向けた力の習得」に意見が相次いだ。
佐賀県多久市長の横尾俊彦委員は「21世紀型スキルに注目している。現在はない職業に6割の子どもが就く」として「知識だけでなく、個性など熱意を伸ばすべきだ」と訴えた。
次期学習指導要領で小学校英語の教科化が図られるなか、限られた時間で体験活動を実施するのは難しいと、NPO法人スクール・アドバイス・ネットワーク理事長の生重幸恵委員は語る。その上で、「日本の教育が必要としていることを、絞り込んで考えないといけない。日本の子どもたちの未来のために『体験学習が必要だ』と明記してほしい」と強調した。
一方で、飯ごうを使えない現状を、(公社)日本PTA全国協議会前会長の尾上浩一委員が報告し、「体験学習の経験のなさに愕然とした。自然体験は大事だ」と話す。
(一社)全国高等学校PTA連合会長の佐野元彦委員は、貧困家庭の状況にもふれ、「体験学習をする子どもは少ない。支援する必要がある」と述べた。
このほか、CSや家庭教育支援体制の強化などを含む「相互・共助による活力あるコミュニティの形」についても委員から声が寄せられた。
大阪府立大学教授の山野則子委員からは、CSに関して「NPO法人などで学習支援プログラムがはやっているが、学校とつながっていない。地域学校支援本部やCSでやってほしい」と求めた。さらに佐野委員が「学校を中心にして地域と関わるだけでなく、逆に地域が学校に関わる思考も必要だ」などの声も聞かれた。
第2期教育振興基本計画は、「社会を生き抜く力の育成」「未来への飛躍を実現する人材の育成」など、4つの方向性を示している。このなかには、8つの成果目標と30の基本施策が明記されている。
基本計画4年目を迎える今年は、成果目標の洗い直しの年で、委員からさまざまな意見を募っている。