生徒に聴く力を育む 主体的に学ぶ授業を追究

長期研究員などによる18の成果が発表された
長期研究員などによる18の成果が発表された

神奈川県立総合教育センターは、平成27年度の研究発表大会を3月3、4の両日、藤沢市の同センターで開催。今日的な教育課題や生徒の主体性を育む授業実現などを視野に、学校全体で取り組む学習支援の充実策やコミュニケーションを促す聴き方に関する研究など、18の報告があった。

同センターの持田訓子指導主事と県立深沢高校の村山修一総括教諭は、2年間で進めた学校全体で取り組む学習支援の充実に関する研究について報告した。研究は、自立した学習者の育成に向けた授業や支援の在り方を探ったもの。

教師が、教える側から学ぶ側に見方を移しながら、生徒の学習状況を丁寧に観察。学校全体で授業内容と効果的な学習支援の視点を検討し、具体化したという。

前提として、▽学びのユニバーサルデザインを踏まえた全生徒対象の多様な学びや協同学習▽ニーズがある一部の生徒を対象にした認知特性に応じた学習相談▽明確なニーズがある特定の生徒を対象にした個別合理的な配慮による指導――という3段階の柱を設定。

初年度は「学びのユニバーサルデザインと協同学習」を、全学年の全授業で実現するのを目標にし、段階的に多様な学習方法や支援の具体策を検討していった。

年5回の学習活動研究会では、授業を動画収録。授業観察と動画視聴を通じて教師が個々の生徒の学びの様子をしっかり見つめ、学び方の特徴などの気付きを話し合った。

2年目は「生徒に身に付けさせたい力」を明確化し、全教員で共有。校内プロジェクトチームを作り、学びのユニバーサルデザインの視点から指導案を検討できる「授業づくりシート」などを作成した。

このシートを活用した学習活動研究会などを進めていく中で、教科や学年を超え、全教員による生徒の学ぶ姿から考える授業追究へと改善策が進んだなどの成果を話した。

同センター平成27年度長期研究員の鶴見総合高校の市川親代子教諭は、コミュニケーションを促す「聴き方」に関する研究について報告した。

コミュニケーション能力の育成が一層重要になる中で、ともすると生徒の「聴く」「傾聴」の意識が低くなる傾向を課題視。生徒が自分の聴き方を振り返りながら、「聴く力」を高めていく実践を探究した。

検証授業では、生徒に聴き手が反応しない交流を体験させ、各自のこれまでの聴く意識などを考えさせた。同時に、交流を深めるための良い聴き方の視点を挙げ、個々に研さんできるようにした。

実際の会話を通して聴く力のスキルを高めるために、2、3人の小グループによるロールプレーも実施。交流の中でそれぞれの話す、聴く役割を比較しながら、聴き方の見つめ直しや修正につなげた。

その他、▽関心、意欲、態度の育成を見据えた単元の評価規準設定に関する研究▽教育相談コーディネーターの取り組みと神奈川の支援教育の成果に関する調査研究▽教育の情報化を推進するための研究――などの報告があった。

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