子どもの貧困問題 深刻度指標化しワースト県は……

現状把握を深めながら多様な連携対策を強調した
現状把握を深めながら多様な連携対策を強調した

日本財団は3月4日、「子どもの貧困による社会的損失推計」の都道府県別推計を公表した。昨年12月の発表に続く第2弾となる。貧困問題の深刻さと対策の度合いを明らかにし、偏差値などを織り交ぜて初めて指標化した。ワーストには北海道や奈良県などがあがった。児童福祉費の予算配分が高い県でもワーストに位置付けられる状況があり、幅広い要因把握と分析、多様な連携による対応などが指摘された。

推計は、子どもの貧困対策を行わずに教育や所得格差が継続する場合と、対策を行い、教育や所得格差が改善された場合の両シナリオで、現在15歳の子どもが64歳までに得る所得や税、社会保障費の純負担額を算出。2つのシナリオの差分を「社会的損出」と捉え、値を割り出している。

これを都道府県別で見ると、GDP比に基づく「所得額」の差分では、沖縄がマイナス1.29%と最も高く、山形、富山、福井がマイナス0.31%と最も低い結果となった。「税や社会保障の純負担額」の差分でも沖縄がマイナス0.43%で最も高く、最も低いのが山形、富山、福井のマイナス0.11%だった。

一方、今回の調査では、子どもの貧困による社会的損失を知るだけでなく、都道府県ごとの貧困対策を照らし合わせた状況把握も目指した。

そのため、15歳未満の子ども1人あたりに使う児童福祉費を「課題対策度」として指標化。そこに、GDP比に基づく▽所得の機会損失▽税や社会保障の純負担▽子どもの貧困率――を勘案した「課題深刻度」を照らし合わせた。両指標の偏差値を割り出し、都道府県別の状況を明らかにした。

対比の結果、課題対策度が低く、課題深刻度が高いワーストとして、北海道(課題対策度偏差値35.4、課題深刻度偏差値37.7)、奈良県(同37.5、38.9)などがあがった。

しかし、対比結果でワースト傾向にある県の中には、児童福祉への予算配分比率が高い埼玉、神奈川、奈良、沖縄などがあるのも分かった。

同財団では、支援アプローチには十分な予算確保が必要と強調。子どもの貧困対策に尽力するのは大きな経済効果を生むとして、予算配分の再検証などに期待する。

効果的な対策に向けては、実態調査を行い、これに基づいて計画を策定し、予算確保や施策実施につなげていく手順が必要だと指摘。現状はやっと実態把握に手が掛かった状態だと話す。子どもの貧困状況の把握や対策を、点ではなく面で捉えるアプローチが必要と訴えた。

今後、行政、NPO、企業が連携し、必要なリソースを持ち寄るパイロット事業を後押ししたいと話す。

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