幼児教育の充実で生活科もレベル向上 中教審で議論

幼小接続を意識した議論を展開した
幼小接続を意識した議論を展開した

中教審初等中等教育分科会教育課程部会は3月7日、幼児教育部会の第5回会合を、文科省で開催した。幼小接続を踏まえて議論を展開。教員がすぐに答えをあげてしまうと探究心がなくなる。行きつ戻りつ失敗しながら進める余裕がほしい。幼児教育のレベルが上がれば生活科のレベルも上がる――など、さまざまな意見が発表された。

今会合の主な議題は、「アクティブ・ラーニングの視点と資質・能力の育成との関係について」。

委員からは「幼稚園段階では、深い学びを求めるあまり、浅い学びを軽視してはいけない」「就学したら、文章独特の表現を使って学んでいく。幼稚園でも、会話だけではなく、絵本の読み聞かせなどを通して、文章独特の表現に親しむ必要がある」「教員が答えを早く出しすぎる傾向がある。『なぜそうなったのか』と考えさせる時間を取らずに答えを教えると、子どもの探究心がなくなる」などの見解が示された。

また「やるべきことが多く、失敗する時間がない。幼児教育は、行ったり来たりぐるぐる回るもの」と、行きつ戻りつ、失敗しながら進める余裕を持つべきだと訴える委員もいた。

遊びに関しては「30年前と比べ、遊びの時間や種類が限定されている。歩く量も減っている」「遊びを『選ぶ』というよりも、遊びを『生み出す』『つくっていく』という発想で」などの意見が出た。

「遊びが変わると、我慢のしどころが変わる」とし、いろいろな経験をさせる必要性を強調する意見もあった。

文科省が提示した「幼児教育における学びの過程のイメージ(たたき台)」では、「ポップコーンパーティーをしよう」という取り組み事例によって、幼小接続のヒントが示された。

その事例によれば、ポップコーンパーティーを通して、「身支度で三角巾をする=図形への関心」「調理時に材料を量る=用具と数との関連」「ポップコーンが多すぎてあまりはじけない=因果関係の発見」「もう少しでいっぱいになる=予想」など、さまざまな資質・能力につなげられるという。

これについて、委員は、「今まで幼稚園で大切に取り組んできた活動が、小学校の学びにつながっていると感じられると、幼稚園の教員は安心するのでは」と現場をおもんぱかった。幼小接続の議論では、小学校の教育内容が前倒しになるのではないかと危惧する声が上がった。前倒しになるのではなく、今やっていることが小学校へつながっていくと実感できる記載に賛意が表明された。

この議論で、幼児教育と小学校の生活科が同様の内容になるのではないかと心配する意見があった。それについては、上智大学総合人間科学部教授の奈須正裕委員が「あくまでも個人の意見」と念を押した上で言及した。「『粘り強さ』『気付きを広げる』という意味で、小学校の生活科をもっと引き上げたい。だから、生活科のスタート地点を意識して、幼児教育にリミットを設ける必要はない。むしろ、幼児教育で探究するレベルが上がれば、生活科はそれを引き継いでスタートできる」
 幼小接続を前提にした、前向きな考えが述べられた。

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