東日本大震災支援「5年間の軌跡」 SCJが報告書

東日本大震災から丸5年となる3月11日、(公社)セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン(SCJ)が「東日本大震災緊急・復興支援5年間の軌跡~子どものために 子どもとともに」と題する報告書を発表した。発災直後からの支援活動から得た学びと、今後の災害対策への提言などがまとめられている。

報告書によると、支援事業は6つの分野と、分野を横断する防災(災害リスク軽減)の取り組みが柱だった。それは、(1)緊急支援=震災直後の支援物資・学用品の配布や避難所などでの「こどもひろば」の設置など(2)教育支援=子どもの学習環境の回復・改善、学習機会の回復・拡充(3)子どもの保護=放課後児童クラブ(学童保育)の支援など、子どもが安心・安全に遊び、学び、成長できる環境づくり(4)子どもにやさしい地域づくり=子ども参加によるまちづくり事業として、子どもまちつくりクラブの活動をはじめ復興や防災に子どもたちの声が反映されるよう働きかける(5)コミュニティー・イニシアチブ=被災地域で活動するNPOや団体が、子ども支援を効果的長期的に継続できるよう助成や組織運営強化を支援(6)福島プログラム=複合災害によって多様化する環境の中で過ごす福島の子どもたちや地域の支援者を支える活動。

これらを通して8つの学びがあったという。

(1)災害直後、緊急・復興支援のために多くの支援団体が現地に集中する中で、各団体が組織の特性を軸とした立ち位置を見極め、役割を果たすことが肝要(2)緊急・復興支援は学齢期の子どもたちの場合、学校生活の回復に焦点を置きがちだが、子どもたちの放課後や余暇の時聞に着目した支援も不可欠(3)子どもの権利基盤型プログラミングの視点は緊急・復興支援でも有用(4)子どもの声に基づく事業計画策定・実施・モニタリング・評価は容易ではないが、意義は大きい(5)緊急・復興支援の中にも子ども参加の機会は保障されるべき(6)地域のNPOへの支援が緊急・復興支援事業のインパクトを高めることにつながる(7)緊急・復興時でも子ども支援の現場でこそ、子どもの安心・安全にかかる取り組み強化が不可欠(8)緊急・復興支援では、事業実施期間中に評価の機会を設ける。それが事業の質を担保する。

こうした支援活動と学びから、今後も起こりうる災害に備えて、8つの提言を行う。

(1)子どもを24時間守れる「子ども中心の防災」のための仕組みや体制づくりを、学校、家庭、地域の協力のもとに推進する必要がある。

(2)学童保育でも、子どもの安心・安全を担保するための学校相当の十分な防災に向けた対策を促進する必要がある。

(3)災害発生直後には、子どもが災害から受ける影響に十分に配慮し、子どもの視点に立った環境づくりや子どもの心に配慮した取り組みが、全ての場で必要。

(4)緊急・復興時でも、子どもに関係する政策や施策、取り組みに関して、子どもは意見を表明し、社会に参加する主体として位置づけられ、その機会が提供されるべき。

(5)災害時におけるNGO・NPOの役割を公的な防災計画などに明確に位置づける。

(6)より困難な状況にある子どもたちこそ、支援のニーズは今でも高く、そのような子どもたちを支援するには、支援者側への継続的な支えも必須。

(7)被災地域での子どもの虐待・ネグレクトの早期予防を進めるために、虐待に至る前の「グレーゾーン」にある養育者と子どもに焦点をあてた対応が必要。

(8)より包括的な子ども・子育て支援を実施するために、行政と地域NPOをはじめとする市民社会のパートナーシップを強化する必要がある。

報告書は、同団体サイト内(http://www.savechildren.or.jp/jpnem/jpn/pdf/tohoku_final_report.pdf)からダウンロードできる。

関連記事