広島中3自殺 報告書で生徒「先生は聞いてくれない」

広島県府中町立府中緑ケ丘中学校3年の男子生徒(当時15歳)が、誤った万引記録に基づく進路指導後に自殺した問題で、同校は調査報告書をまとめた。このほど公表されたこの報告書によると、万引があった際に行われる面談などについて、内規に定められた手順を怠っていたなど、学校の対応に問題があったとしている。

私学への専願・推薦が不可となり、希望校に進学できないのを苦に、男子生徒が自殺したのは昨年12月8日。これについて「学校としての責任があった」と結論付けた。また学校に対して生徒が「どうせ言っても先生は聞いてくれない」と保護者に話していた事実も分かった。

報告書は約50ページにわたる。坂元弘校長ら5人が調査し、2月29日付でまとめられた。

それによれば、万引事案が発生したのは平成25年10月6日。広島市内のコンビニで、中1生徒2人が万引をしたと連絡があった。出勤していた教員が現場に出向き、保護者を呼び、2人に、コンビニ側に謝罪させた。

後日、対応した教員が生徒指導担当教員に口頭で生徒名を伝えた。この中の1人が自殺した生徒だった。だが、伝えた生徒名は誤っており、そのままパソコンに入力された。

内規では、万引などの法令違反があった場合には、(1)事実確認(2)保護者連絡(3)五者面談=本人・保護者・担任・学年主任・生徒指導主事(4)管理職説諭(5)個部室指導――などの手順を経ると定められている。

だが、万引事案に対応した教員が生徒に謝罪させたことで、当該生徒の担任は、既に解決したと認識していたほか、生徒指導部からの指示もなく、事後対応を怠っていた。

加えて、万引があった翌日に、他の1年生による対教師暴力が発生し、その解決を優先させていた。

万引事案については、事案発生2日後の10月8日になって、生徒指導推進委員会が開かれた。ここで配布された資料に、関わった生徒名が書かれていた。その名前は間違っていると指摘されたが、手元資料だけの修正にとどまり、サーバ内のデータは未修正のまま残った。

その後、6回あった同委員会でも、最初に配布された誤ったままの資料が配られていた。何度も修正の機会があったにもかかわらず、誤った情報のまま、重要書類が保存された。

さらに、教育指導体制の不備も指摘。生徒は「どうせ言っても先生は聞いてくれない」と保護者に打ち明けていた。これに対して報告書では「本来あるべき教育指導体制になっていない」と分析している。

また問題となった専願・推薦の基準は、3年生だけでなく、1、2年生の非行歴も含むと、昨年11月に変更されている。だが、対象とされる生徒とその保護者にだけ伝えていた。

報告書では、こうした点について、生徒の自殺後の昨年12月22日に、推薦基準を学習態度などを含む「多面的に評価する」として、再び変更した。今後は、基準を変更した場合には、4月に全学年と保護者に報告すると決めた。

学校は、3月12日に行われる卒業式で、自殺した生徒に卒業証書を授与する。卒業式で学級代表に渡し、遺族に伝達される。

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