統計学で育む資質能力で議論 定量的論理的な推論力を

問題発見力や汎用的な見方、考え方を養う学習プロセスも提案
問題発見力や汎用的な見方、考え方を養う学習プロセスも提案

中教審初中教育分科会教育課程部会の算数・数学ワーキンググループは第4回会合を3月11日、文科省で開いた。アクティブ・ラーニングの視点を踏まえながら、算数・数学や統計学で育むべき資質能力の在り方などで意見を交わした。委員からは「定量的論理的に推論する力」「協働的問題解決プロセスを大事に」などの提案が出た。

冒頭、これまでの議論のまとめとして、小・中・高校を通じて算数・数学教育で育むべき資質能力案などが示された。個別の知識技能や思考、判断、表現力、学びに向かう力など3つの柱に沿いながら育成観点を明らかにしている。

小学校段階の知識技能では、「数量、図形などの基礎的基本的な概念、性質の理解」「日常の事象を数理的に処理するための知識技能」などをあげる。思考、判断、表現力では「日常の事象を数理的に捉え、見通しを持って筋道立てて考える力」、学びに向かう力では「数学的に表現処理したことを振り返り、批判的に検討しようとする態度」などを示した。

情報化の進展を背景に、今後強く求められる「統計教育」に関する意見も交換。検討の視点は、育てたい資質能力や各学校段階で習得すべき内容など。最初に2人の委員が提案した。

(独法)統計センターの椿広計委員は、日本学術会議の提言を踏まえ、統計学を学ぶ意義を「自然や人間社会における不確実性の理解と対処方法の習得、課題解決型思考力の獲得」と説明。獲得すべき能力として、▽データに基づく定量的論理的な推論とリスクを考慮した最適な意思決定▽問題設定能力▽抽象的思考能力▽帰納的、演繹的推論能力――をあげ、市民性の涵養と合わせて育みたいとした。

その際、正解が一意に定まらない多目的最適化問題である統計学の特性を押さえ、アクティブ・ラーニングの協働的問題解決プロセスを大事にするべきと指摘。統計量の計算方法などに時間をかけ過ぎず、ICTの計算処理機能を有効活用したいなどと訴えた。

明治大学大学院の戸谷圭子教授は、義務教育段階では、分布や記述統計の基礎、標本調査の考え方を押さえ、世論調査など統計値の妥当性を判断できる知識を育みたいとした。高校卒業までには、システムデータの特徴や利用範囲、正規と確率分布、相関などを理解させたいとし、社会課題の因果関係や構造を見つめ、解決に統計がどう生かせるかの知識を育みたいなどと話した。

意見交換では、高校の情報科と関連づけた問題解決学習を提案。多様な社会課題の解決に統計的なアプローチで迫る展開などが出た。

実践に際しては、統計学的な考え方を育むよりも、正確な数値を出すのにこだわり過ぎる学びが進むのではと危惧。限られた学習時間で新たな統計教育を進めるため、学校への理解やカリキュラム・マネジメントが重要になるとした。

その他、算数・数学の学習プロセスと各段階で育みたい力として、▽素朴な問題解決プロセスから概念や見方、考え方を獲得▽類似問題や発展問題の解決プロセスから洗練された領域固有の概念などを獲得▽他領域、他分野の問題解決プロセスから領域や分野横断の概念などを獲得▽教科横断の問題解決プロセスから汎用的な念などを獲得――といった学習過程も報告。一連の流れから算数・数学の問題発見力や汎用的な見方や考え方を養いたいなどとした。

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