ネット依存脱却のきっかけ 8泊9日の体験でつかんだ

報告書から
報告書から

キャンプを通してネット依存傾向の青少年が、生活習慣を改善するきっかけをつかんだ――。

文科省は、独立行政法人国立青少年教育振興機構に委託(27年度)し、ネット依存またはネット依存傾向の青少年を対象に、8泊9日の宿泊体験事業として「青少年教育施設を活用したネット依存対策推進事業」を実施。これにより、どんな効果があったのかを調査し、その結果を報告書にまとめた。

キャンプが行われたのは、群馬県前橋市の国立赤城青少年交流の家。独立行政法人国立病院機構久里浜医療センターと、メンターを務めた国立青少年教育振興機構の法人ボランティア13人が協力した。

参加したのは、関東、東北、近畿の、中1から大人までの男子12人。昨年8月17日から25日まで、メーンの「セルフディスカバリーキャンプ」を実施し、11月1日から3日までの2泊3日で、フォローアップキャンプを行った。

メーンキャンプの主なプログラムは、▽仲間づくりの活動▽地蔵岳トレッキング▽野外炊事など。久里浜医療センターが、▽認知行動療法▽カウンセリング▽家族会を実施した。

事業の成果として報告書は、参加者自身の意識について、▽週3日くらい学校に行けるようになった▽学校を欠席する回数が大きく減ったなどの変化が見られたとした。

ネット依存状態からの脱却(ネット以外の活動への興味)については、▽就寝時刻が早くなった▽必然的にゲームやネットに触れる時間が減った▽認知行動療法で自分がどうすればネットの使用時間を減らせるかの道すじを何となく見つけ出し、依存状態からの脱却のきっかけとなった。

また集団宿泊生活による基本的生活習慣については、▽毎朝7時に起きられるようになった▽犬の散歩で外出するようになったなどの基本的生活習慣が継続。

コミュニケーション能力では、▽率先してあいさつやお礼を言う頻度が増えた▽言動が積極的になり、意向を伝える回数が増え、他のメンバーやメンターとのコミュニケーションが増えたなどの面で、キャンプ中に向上が見られたとした。
人とのふれあいによる感受性・社会性に関しては、▽キャンプ中に体力を使う場面が多かったため、参加者とメンターが力を合わせて目的を達成できた▽登山や仲間づくりの活動を全員で成し遂げることで、一体感や自分の気持ちを伝える力がついたなどで向上が見られた。

これらについて効果研究を行った久里浜医療センターは、▽1週間当たりの平均インターネット/ゲーム使用時間は、メーンキャンプ前に1日平均約8.2時間であったものが、フォローアップキャンプ前では1日平均約5.1時間に減少▽26年度キャンプの研究結果では、自己効力感の有意な向上が認められたが、今年度では認められなかった▽インターネット/ゲーム時間が減少しているのを考え合わせると、依存的行動から脱却できなくて自信を喪失したのではなく、依存的行動からの脱却の困難さを自覚した可能性があるとした。

認知行動療法から見た参加者の変容では、▽キャンプ終了後、通信制高校に転校し、勉強を始める。フォローアップキャンプでは自信をつけた表情で、「今は学校にも楽しく行っているし、友達と呼べる人もできた」「友達とカードゲームをすることに夢中で、ネットゲームは全くやっていない」とみんなに報告▽キャンプを通じて集団生活を最後まで乗り越えたこと、またその中で自分を気にかけている友達を得た体験によって自信を得、新しい目標を抱くことができ、キャンプ後の生活を大きく変化させることができた▽メーンキャンプ終了後に登校を再開し、大学受験に向けて予備校にも通う▽キャンプ中は他のメンバーとの関わりは少なかったが、メンターとは少しずつ話をするようになり、メンターを「お兄ちゃんのように感じている」と話し、笑顔を見せるようになった。キャンプ後は、メンターの趣味であったサイクリングを一度やってみたと話す。登校できる日が徐々に増えてきている――などの参加者がいたという。

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