ALに限界と課題 それを乗り越え21世紀型スキルを

ブレーンストーミングで多様な意見が語られた
ブレーンストーミングで多様な意見が語られた

東洋大学現代社会総合研究所ICT教育研究プロジェクトは3月21日、公開研究会「ICT教育の現状と課題」を、同学白山キャンパスで開催。佐賀県武雄市のICT教育について報告があった。アクティブ・ラーニング(AL)には限界と課題があるとの指摘や、情報モラル教育の徹底などで「21世紀型スキル」を、と語られた。

同プロジェクトでは、同市の「ICTを活用した教育」について、その教育効果などを研究してきた。当日は、松原聡同大学副学長がコーディネーターを務め、国立教育政策研究所や同市教委、協力各社などから参加したパネリストらが、ブレーンストーミング形式で進行。ICT教育について、ALや21世紀型スキルなどとの関連で議論した。

代田昭久同市教育監は、ALの限界と課題について、(1)知識のある子もない子も1コマで授業を完結させなければならない「時間の限界」(2)教室内で限られた教師と学習者間で学ぶだけでは多様性を育みにくいとする「場所(空間)の限界」(3)既存の教材、今までの指導力では対応できない「指導者の課題」(4)人間関係の対立に発展するのを恐れて意見の対立をためらう「学習者の課題」――の4点を指摘した。

その中で同市は、ICTの活用で「時間の限界」を解決するために、平成26年5月から「スマイル学習(武雄式反転授業)」を実施している。あらかじめデバイスを自宅に持ち帰った子どもが、5分から10分程度の動画を用いて予習。その内容を、翌日の授業で、グループやクラスで共有し、発展的な学習に結びつける。

知識の習得は要する時間に個人差が生じるため、その部分を自宅に委ねる。すると、学校では協働学習や定着・まとめに費やせる時間が増えるとの算段。小学校の場合、算数・理科は20%弱、国語では5%弱の授業がスマイル学習にあてられている。

同市では、家庭学習がどのように授業に影響を与えるのかを考察しながら、慎重に進めている。

児童へのアンケートによれば、動画の理解度は「よく分かった」「だいたい分かった」が88.7%で、大半の児童が内容を理解していた。また予習した児童の84.1%は、翌日の授業を「とても楽しみ」「少し楽しみ」と回答。授業後のアンケートでは、授業内容について「よく分かった」「だいたい分かった」との回答が95.6%で、非常に多くの児童が肯定的な評価をした。

その他、同市の小学校低学年を対象に行った「プログラミング教育」についても、その成果が発表された。

21世紀型スキルとは、次代を担う人材が身に付けるべき能力。「創造性とイノベーション」「批判的志向、問題解決、意思決定」「コミュニケーション」「情報リテラシー」「ICTリテラシー」など、情報や新しい技術を理解し、他者との協働に活用する力が、次代に不可欠なリテラシーとして位置付けられている。

同市連合PTAが決定した、小・中学生に携帯電話やスマホを持たせないとの基本方針に話題が及ぶと、パネリストからは賛否両論が表明された。

多数派だったのは反対意見。「悪いのはデバイスではなく、使う側の問題」「大人が制限しなくても、判断力がついていれば子どもが自制する」「デジタルネーティブの子どもたちに『使わせない』という措置はいかがなものか」「保護者のリテラシーを向上させる必要がある」「将来的にだまされたりしない判断力を」など、情報モラル教育の重要性が異口同音に語られた。

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