障害者差別解消法施行目前 学校図書館は何をすれば

障害者差別解消法施行で求められる配慮を解説する野口教授
障害者差別解消法施行で求められる配慮を解説する野口教授

(公社)全国学校図書館協議会は3月30日、学校図書館講演会を、都内で開いた。今年は、学校図書館および教育の充実・発展を図る「学校図書館年」。この4月には障害者差別解消法が施行される。野口武悟専修大学文学部教授は、同法と、それに伴って学校図書館が目指すべき方向性、求められる合理的配慮などについて語った。

同法の根底にあるのはノーマライゼーションの思想。障害者がニーズに応じた配慮を受けながら、可能な限り通常の方法で能力を発揮し、社会に参加する考えだ。同法は、この実現に資するのを目的としている。

同法によれば、「行政機関等」「事業者」ともに環境の整備に努めなければならない。国公立の学校図書館は「行政機関等」、私立の学校図書館は「事業者」にあたる。つまり、どの学校図書館も、同法に対応して施設の構造改善(バリアフリー化など)や関係職員に対する研修、その他必要な整備について努力する義務が発生する。

合理的配慮については「行政機関等」には義務、「事業者」には努力義務がある。

合理的配慮とは、障害者が健常者との平等を基礎として、全ての人権と基本的自由を享有し、それらを行使するのを確保するために必要で適当な変更や調整をいう。「均衡を失したまたは過度の負担を課さないもの」との定義もあり、配慮する側に過重な負担がかかる場合には、対応する必要はない。

学校現場では、ノーマライゼーションの方策として、インクルーシブ教育が浸透。特別支援を受けていなくても合理的配慮が必要な子がいるのを意識する必要があるとした。

その1例として、同教授が挙げたのは「ディスレクシア」。発達障害の一種で、読み書きに困難が生じる障害。視力の悪さや知的障害が理由ではなく、文字が重なって見えたり、動いて見えたりと、その症状は十人十色。このような「読みたくても読めない」子への配慮も必要となる。

求められる学校図書館の対応としては、まず職員の意識と理解の向上が急務だ。また拡大鏡や読みたい行だけ色つきのシートで際立たせ、その上下の行が隠れて余計な情報が入ってこないように工夫されたリーディングトラッカー、角度をつけて本を読みやすくする書見台など、読書補助具や支援機器の導入も有効という。点字資料や録音資料など、バリアフリーな資料の収集と提供も重要。

合理的配慮に関しては、職員による個別の支援が必須。同教授は、現実的な対応として、「本人が読みたい本が、読める媒体でなかった場合は、『対面朗読』が中心になるのでは」と述べた。

講演の最後には、「まずは、各学校図書館で現状分析を行い、何ができるかを検討してほしい」と提言。学級担任や特別支援教育コーディネーターなどとの懇談や打ち合わせも有用とし、その上で、「過重な負担のない範囲で、できることから対応を」と締めくくった。

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