自民党の教育再生実行本部は4月1日、格差克服のための教育部会を開き、貧困連鎖を断ち切るために給付型奨学金の充実や学力課題校の解消などを柱にした提言案が、大筋で了承された。
これで、特別支援や教育環境整備などの4提言案が出そろった。4日の教育再生実行本部でまとめる見通し。同日には安倍晋三首相に手交する予定だ。
提言案では、貧困家庭を対象にした奨学金の支援拡充を打ち出した。大学進学のために借りた奨学金の返済苦が問題となっている現状を受けて、給付型奨学金の創設を提案。
初等中等教育段階では、就学援助制度の対象範囲を広げるほか、私立高校に通う生徒がいる家庭に向けた奨学金を拡充するとした。
また学力課題校と呼ばれる小・中学校については、学習支援のためにサポートスタッフの派遣といった支援を行い、基礎学力の定着を図る。平成32年度までに1千校の学力課題校の解消を目指す。
このほか、同提言の貧困対策施策を実行するために「教育格差克服モデル都市」を指定し、全国に発信していく案も示した。
財源には数百億円が必要とみられ、今後も教育再生実行本部で議論していく。
格差克服のための教育部会の主査代理を務める宮川典子衆院議員は「貧困と教育格差には連鎖がある。それぞれの家庭で子どもたちの学力や生活環境を底上げさせたい」と語る。
安倍首相は、大学生向けの給付型奨学金を創設する考えを、3月29日の記者会見で表明していた。