よい授業4因子が学力向上と関係 指導冊子なども開発

因子と学力の関係を示したグラフ
因子と学力の関係を示したグラフ

さいたま市教委は「子どもが望む『よい授業』4因子」の調査分析を推進。4因子が学力向上に一定の関係性があるとの結果を示した。今年度は4因子を押さえた実践をアドバイスする冊子を開発し、子どもへのアンケート結果から、授業を教員自身が分析するシステムの活用を進める。

4因子は、東京大学の市川伸一研究室の協力を得ながら、統計的手法で見いだしたもの。▽授業マネジメント▽基礎アップ▽授業スキル▽アクティブ・ラーニング――で構成される。この4因子をさらに調査、分析する中で、学力との関係が見えてきたとする。

市内の小学校5、6年生と中学校1、2年生の国語、算数・数学、理科の授業に対し、4因子それぞれの充実度を低・中・高の「尺度得点」として割り出した。そこに学力調査の正答率を重ねた。

小学校算数の「授業マネジメント」では、正答率は低の67%に対し、高は71%との結果だった。小・中学校の各教科、全因子で尺度得点が高いほど正答率が高い傾向となり、4因子と学力には一定の関係があるのが分かった。教科別では中学校数学と理科、因子別では授業マネジメントとアクティブ・ラーニングで明確な傾向が出たとしている。

一連の結果から同市教委では、4因子を押さえた授業実践例を具体的に示した「新さいたま市の授業づくり」冊子を、5月初旬をめどに作成する。

小・中学校の全教科から20授業を選び、各授業の流れの中で、各因子を生かした具体的な指導や視点を明示する。

小学校3年生算数「かけ算の筆算」の前半、課題設定場面では、アクティブ・ラーニング因子を踏まえた主体的な学習の視点を指摘。

「式につながる数値の確認、立式とその根拠、今までの問題との違いなどを考えさせ、児童の力で設定する」「今までの問題との相違点を考えさせるのが課題設定と解決のヒントになる」などと助言する。

既存の各教科、単元学習に、4因子を押さえた指導や展開の視点を盛り込む中で、具体的なイメージをもって授業計画や改善に生かしてもらえたらとする。

加えて、4因子を見据えた授業の振り返りに生かすアンケートと集計、分析システムを開発し、活用する。

子どもたちに授業について質問するアンケートを実施。項目は、▽先生の声がはっきりしていて聞き取りやすい(授業マネジメント)▽今日の学習のまとめを自分たちで考える時間がある(アクティブ・ラーニング)――といった4因子に基づく内容を載せる。

結果は、数値やグラフでPCに示され、目標値に照らしながら、課題の明確化と克服につなげる。傾向をコメントとして記述する項目も載せる。

また各学校や教員が自由に自己診断したり、研究や研修に生かせるようにする。

今年度は、4因子と、これまで調査した3教科以外の教科の学力との関係を追究する。さらに、同因子と、興味・関心・意欲の関係などを、市内の研究協力校である小・中学校18校と連携して進める。

将来的には、市内の全小・中学校教員が同システムを使い、授業の振り返りや改善を進められるようにしたいとしている。

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