子ども観察の力を磨こう 田村学文科省視学官が講演

スタートカリキュラムの実践からエール送る
スタートカリキュラムの実践からエール送る

横浜市立本郷台小学校(芳賀慈校長、児童数539人)は、幼児教育から小学校教育への円滑な接続を見据えたスタートカリキュラムの授業公開と研究会を4月12日、同校で実施。この中で、文科省初中局の田村学視学官は「学びの芽生えから自覚的な学びへ」と題し、講演した。子どもが気付きを深め、主体的に学び合う授業を実現するためには、教師の観察力が重要で、ねらいを踏まえて子どもの意見を結び付ける力を鍛錬するのが大切と語った。

田村視学官はまず、同校の授業を振り返った。同校のカリキュラムでは、入学後間もない新1年生が、外遊びや学校探検など、子ども主体の活動に興じさせる中で、試行錯誤しながらも、仲間との関わり方やコミュニケーション力を育んでいると話す。各児童の主体性は、課題発見力や学習意欲のベースに結び付いていると、その意義を強調した。

一方、8年目を迎えた同校の研究実践は、活動のつなぎや流れなどに注目しながら、授業の質を高めるためのブラッシュアップが必要と、注意を促した。

1時間目から始まる「なかよしタイム」は、遊びやゲームで互いの緊張や不安をほぐし、安心して学べる関係を育む活動。ここでは、外遊びから教室でのコミュニケーションゲームといった起伏の激しい活動展開に課題があるのでは、とした。

子どもたちの学校探検活動を見守った授業者からは、「同じ展開なのに、日によって子どもたちの追究意欲や熱に差が生じる」「子どもの追究課題や発見が多すぎて、共通点の着目や共有化に悩む」などの問題点が指摘された。

これについて同視学官は、参加者同士の話し合いも生かしながら、参考意見を提示。教師が強引に引っ張ろうとせず、「良い意見を出した子どもの例を取り上げて学び合いの熱を高める」「自分の意見をそれぞれ熟考させながら、子ども同士で周りの良い意見を聞き合える状況づくりを図る」などの、子ども主体の学び合いを形成していくコツを挙げた。

今後の学びで重視される「アクティブ・ラーニング」「系統性を踏まえたカリキュラム・マネジメント」は、スタートカリキュラムとも大いに関係していると話す。

スタートカリキュラムは、さまざまな体験活動を通じて、子どもの主体性や気付きを深めるもの。これは、脳の活性化や認知、身体能力の向上とも結び付いており、人間の生涯にわたる意欲や思考力にも影響していると指摘。成長を見据えながら、幼小期の学びの重要性を再認識したいとする。

加えて、子ども同士の学び合いを促進するために、教師は、子どもの発言を丁寧に聞き、思いや考えを把握するようにしようと訴えた。その上で、授業成立に向け、子どもの意見や思いの「関係を考え」「話しをつなげる」などの働きかけができるよう、子どもをよく観察して指導していく力を磨こうと、エールを送った。

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