LGBT生徒の人権確立を提言 人権NGOが報告書で

報告書「出る杭は打たれる」
報告書「出る杭は打たれる」

人権NGOヒューマン・ライツ・ウォッチは報告書「出る杭は打たれる」で、日本の学校でのLGBT(レズビアン・ゲイ・バイセクシャル・トランスジェンダー)生徒へのいじめと排除について調査した状況をまとめた。それに基づき、国や地方自治体と教委に、LGBT教育について提言している。実体験を漫画にして描いてもいる。

調査は昨年8月から12月まで、全国14都道府県の合わせて50人を超えるLGBTの高校生や卒業生らと、教職員、学術専門家などを対象に聞き取り調査を行った。またLGBTによるいじめを受けた経験のある人をネット上の回答募集フォーム、facebook やTwitterで拡散して回答を求めた。アンケート回答者は458人。

東京都世田谷区のトランスジェンダーのカオルさん(19)は、高校で男女が厳密に区分されていたので苦しんだ。戸籍上では男性だが、女子の制服着用を認められなかった。男子からも女子からも孤立し、行き場が無くなったという。

自身のジェンダー・アイデンティティーに悩む年頃である上に、規範に則った対応しかできない学校に、立場をなくす生徒が多い。制服やトイレの利用、体育の際の着替えなど、過剰な区別が嫌で学校を辞めてしまう生徒もいる。

学校側が、トランスジェンダーの子どもの権利を守るために、対応に動き出すケースはあるが、そうした事例ができるのは例外的な数しかないと報告書は記している。

ゲイやトランスジェンダーであるのを開示するのは、教師から、自己中心的だ、学校生活を送るのに困難が伴うと注意される例も挙がっている。また一人の教師が「助けたい」と思っても、学校側や教委側にサポート体制がなく、その教師が孤立化してしまうケースもある。

国のいじめ防止対策は、いじめの被害を受けやすいLGBTの子どもを守るためには十分ではなく、教職員と教育行政担当者が、いじめ防止対策を十分に実施できる環境にないとの見解を明確にしている。

同団体は、▽LGBTの生徒など、弱い立場にある生徒のカテゴリーを特定・明記する▽全ての大学の教員養成カリキュラムにLGBTやジェンダー・アイデンティティーの多様性に対応できる研修を義務として組み込む――などを提言している。

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