新分野の人材育成目指す 高等専門学校の充実で報告書

文科省の高等専門学校の充実に関する研究協力者会議(座長・三島良直東京工業大学学長)が、今後の高等専門学校教育の在り方の方向性を示す報告書をとりまとめた。教育の特色を、医療や農業など他分野との連携を強化した新分野の人材育成とし、地域・産業界との連携を充実させる内容。本科5年の修業年限は維持する。

高等専門学校は、中学校卒業段階で工学を中心とした5年一貫の専門教育を実施。現在、全国51校が(独)国立高等専門学校機構によって設置・運営されているほか、公立が東京・大阪・神戸に1校ずつ、私立が3校設置され、産業界と連携した実践的な専門職業人を養成している。地域産業を担う人材育成を行うなど地方創生における要請もある。

こうした背景を受け、報告書では、今後の高等専門学校教育の在り方について、▽企業による寄付講座▽地域企業へのインターン▽地元就職による奨学金の返還免除で学生の地元定着を促進――など、地域・産業界との連携をさらに充実させる方針を示した。

また国際化への対応として、英語による授業で実践的な英語運用能力を向上させるほか、海外インターンシップ、日本企業の海外現地法人や日系企業との連携などの充実も図る。

本科卒業生の6割が就職、4割が大学や専攻科に進学するなど、学生が多様な進路を選択している現状を踏まえ、本科5年の修業年限は維持する見通し。

今後は、IoTやロボティクスによる産業・就業構造の変化、情報セキュリティ分野での早期教育が効果的であるのを踏まえ、医療や農業など他分野との連携を強化した新分野の人材育成を目指す方向。本科では社会や地域のニーズに応じた実践的で創造的な技術者を養成、専攻科では専門性の深化や複合領域への展開に向けた教育研究を充実させるとしている。

現在、中教審が実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関の制度化を検討している。高等専門学校教育については、存在意義や機能の明確化など、職業教育体系全体を踏まえたさらなる議論が求められる。

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