主体的な学びをICTで実現 未来の教育動向を提言

教師の役割についても指摘した
教師の役割についても指摘した

新たなICTを見て、触って、既成概念にとらわれない教育イノベーターを増やそう――。東京都江東区の東京ビッグサイトなどで開催中の第7回「教育ITソリューションEXPO」で5月19日、デジタルハリウッド大学大学院の佐藤昌宏教授が、「テクノロジーで『学び』はどう変わる?~海外事情から国内の最新動向まで」と題して特別セミナーを行った。これからの教育の在り方や主体的な学びの実現に向けたICT活用アイデアを提供した。

同教授は、ICTの進化と普及による教育への影響として「学習者がさまざまな学びの機会を自ら選択し、主体的に学べる状況が実現している」と指摘。教育と情報通信テクノロジーの融合による「EdTech」イノベーションの意義を挙げた。

このイノベーションは、多様な学習アクセスを実現する仕組みや教材開発、提供の低コスト化にもつながっていると評価。複数の海外事例を報告。

インターネットを通じて世界の講義を受講できるMOOC利用の例ではモンゴルの16歳の子どもがMIT入学を実現させた。教育への多様な寄付を募れるクラウドファンディングの仕組みと運用も教育環境のカベを超え機会格差の解消に役立っていると説明した。

今後求められる21世紀型スキルの育成に向けて、インプット型からアウトプット型学習への転換やコンピューターに代替されない創造性を育む教育の推進も強調。

ICTの効果的活用例では、VR(ヴァーチャルリアリティー)技術を使った事例を挙げた。日常的に訪問したり、経験したりしにくい土地や空間を教室で仮想体験させ、個々の学習者の気付きと探究心、創造性が喚起できるとする。

例えば、ゴッホの絵画に入り込み、その世界を巡りながら表現や世界観を実感し、考察を深める学びの可能性などを示す。

小学校での必修化が検討されているプログラミング教育は、技術習得自体が目的なのかと教育目標と内容への疑問を提示。育てたい人材像を見据えた適切な学習内容とネーミングの必要性を提言した。

進化し続けるICTの活用技術を前向きに捉えながら、学習者主体の21世紀型学力育成に向けた教師の役割の整理や見直し、多様な選択肢がある教育の実現を訴えた。