困り事が発見につながる 特別支援でのICT活用で講演

特別支援でのICT活用について語られた
特別支援でのICT活用について語られた

東京都江東区の東京ビッグサイトなどで開催された第7回「教育ITソリューションEXPO」で岡本崇大分県立別府支援学校教諭は、会期最終日の5月20日、特別セミナーを行った。テーマは「生活や学習を支え、成長を実感できるタブレットの活用」。特別支援学校でのICT活用について、「困った経験が発見につながる。それに応じてICTを使っていけばよい」と述べ、タブレット端末やアプリを使って学習し、成長していく子どもの姿を語った。

まず特別支援教育について、教師が手を出しすぎてしまう現状を指摘。「子ども自身が自分で行う部分と教師が提供する部分を分けて考える必要がある」と述べた。子どもがアプリを使用しながら買い物を行う際、教師がシステムを設定し、必要な物のリストへの記入や移動、実際の買い物は子ども自身にさせるなどの分け方だ。

子どもは自分の頭と体を動かすために、新たな発見を自ら生み出せる。スマホやアプリの使い方を教え合い、子ども同士のコミュニケーションも良好になる。

同教諭は「スマホなどの使用による若者のコミュニケーション不足が心配されているが、これらは単なる道具。その道具を介し、うまく活用すれば、良好なコミュニケーションができる」とした。

また普通のドアを自動ドアだと思い続けていた肢体不自由の子どもと接したとき、「支援が与えられる一方になりがちだと気付いた」という。その子の考えは、教員が毎回ドアを開けていたから生じたものだった。

その経験から、「子どもが困る前に教員が先回りして手を出して全てを助けていくと、そこに学びが全くなくなってしまう。子どもは、自分が今何を必要としているのかに気付けなくなる。そうすると、自分にとっての本当に必要な合理的配慮を考え、それを求められなくなる。自分が何に困っていて何が必要なのか、まわりに発信していけるようになるために、子どもにはさまざまな経験をさせるのが大切」と述べた。

「書くこと」に抵抗感のあった子どもの事例では、アプリの使用によって4カ月ほどで800字の作文を自分から書いてくるようになったという。他の子どもの、アプリを活用した日記では、文面から、自分自身の成長に喜びを感じている姿が読み取れたという。

同教諭は「さまざまな経験、いろいろな困り事が発見につながる。それに応じてICTを使っていけばよい」と、活用につながる原点と活用に向けた方向性を示唆した。

セミナーで提示された主なアプリは、(1)TimeStamp-爆速登録ライフログ-(薬を飲んだ時間、起きた時間、寝る時間を記録する生活習慣を管理するライフログツール)(2)こびと日記~自動で日記を書いてくれる新感覚アプリ~(自分の情報をあらかじめ入力しておくと、こびとが勝手に自分の日記を書いてくれる。内容を自分で修正できる)――など。

大分県は教育現場へiPad導入を積極的に行っている。

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