連携して子ども貧困支援 全国100カ所で居場所創設

笹川会長(右)と福原副社長が固い握手を交わした
笹川会長(右)と福原副社長が固い握手を交わした

日本財団は、株式会社ベネッセホールディングスなどと連携し、子どもの貧困対策モデル事業として、全国100カ所に新たな「居場所づくり」を設置すると、5月23日の会見で明らかにした。

居場所の運営は、▽社会的相続の補完▽地域チーム体制の支援▽エビデンスによる施策検証――が特徴。11月に埼玉県戸田市に第1号拠点を作る。貧困世帯の孤立化を踏まえ、地域の実状に応じた家でも学校でもない第三の居場所を都道府県ごとに設けるのを目指す。

同財団は、子どもや教育への支援を一層強化するため、関連事業を一体的に運営する「子どもサポートプロジェクト」を推進。「子どもの貧困対策」を重点支援分野と定めて50億円を拠出。関連機関とのパートナーシップで居場所づくりを図る。

貧困の連鎖を断つための効果的な解決策と居場所の検証、実施に向け、(1)低年齢層に対する「社会的相続」を補完する拠点づくり(2)各地域のチーム体制による支援(3)エビデンスに基づく施策検証の3点を重視。検証には中室牧子慶應義塾大学准教授があたる。

「社会的相続」とは、人や社会と関わる力、学習意欲、生活習慣など子どもの自立力を育む伝達行為。貧困の連鎖を考える際の重要な視点であり、所得だけでなく、家庭での同相続の有無が格差に影響を及ぼしていると、国内外の研究から指摘されている。

さらに同相続は、低年齢期に実施されればされるほど有効的な可能性が高いとの研究成果がある。そのため、スタートとなる戸田市の拠点では、小学校低学年を主な対象とする予定。

親子の関心度や支援現場との接点などから、支援が必要な子ほど、手が届きにくいという課題もある。そこで、地域チーム体制によって学校や児童相談所、商業施設の情報を結ぶ。ソーシャルワーカーなどが子どもと接点を持てるよう積極的なアウトリーチも大事にする。複合的、多層的な課題を抱えがちな貧困世帯の適切な対応に向けて、関係機関の橋渡しにも力を注ぐ。

こうした対応は、エビデンスベース、アプローチによる有効施策の特定を図りながら進めたいと強調。国内外の貧困対策研究での知見が実施プログラムに盛り込まれているほか、各地の取り組みも検証を深め、新たな有効策を深めていく。

居場所では、▽子どもが夢や不安を安心して話せる1対1の関係▽スタッフとの関わりによる基礎的な生活習慣の定着▽学びの基礎を育む読み聞かせと読書機会――を軸におさえ、各地の実状に応じて展開する。

子ども目線で寄り添うスタッフの存在と信頼できる大人からの声かけや働きかけで、貧困の子どもに失われがちな「社会的相続」の補完を行う。

活動には、幼小期の家庭での読書や読み聞かせの頻度が学習意欲や学力に影響するとの研究成果も反映させている。

同市の第1号拠点では、NPO法人Learning for Allが運営にあたる。

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