小・中学校の政治教養を育む学びで議論 神奈川県教委

系統性を考慮する視点などが示された
系統性を考慮する視点などが示された

神奈川県教委は、小・中学校での政治的教養を育む教育実施に向け、第1回検討会議を5月27日、横浜市のかながわ県民センターで開いた。選挙権年齢引き下げによる高校生の主権者教育推進を視野に、小・中学校段階での主体的な社会参画力を育む学びの在り方や指導資料作成に向けた協議を深める。慶應義塾大SFC研究所の西野偉彦座長は、今後の議論の意識点として、指導時の教員の政治的中立性や小・中・高校につながる体系的な学びなどを指摘した。

同会議は、▽政治的教養を育む教育で育てたい力▽指導の在り方▽指導資料の作成――を主な視点に検討する。

育てたい力のイメージでは、「さまざまな課題を通し、他者と連携・協働しながら、自らの考えを深め、主体的に判断し、より良い社会のために行動できる力」を掲げた。

そのための学びのプロセスとそれぞれで育みたい力は、▽自分の身の回りの出来事に関心を持つ(関わる力)▽学級、学校、地域の課題に気付く(情報収集力)▽課題を考える(多面的、多角的思考)▽多様な考えから自己の考えを構築する(当事者意識に基づく判断力)▽他者の考えから自己の考えを再構築する(合意形成力)▽再構築した自分の考えを主張する(意思決定力)▽主体的に行動する(社会参画力)▽自分自身を振り返る(自己肯定による改善)――というステップを想定する。

小・中学校の指導の在り方では、主に社会科、特別活動、総合的な学習の内容を押さえ、小・中学校間の連携を意識しながら、発達段階に応じた指導を考える。社会科では、政治や社会、地域課題に関心を持ち、基礎的、基本的な知識を生かして主体的に社会参画する姿勢を養う学びの推進を視点とする。

県内公立小・中学校、特別支援学校教員に向けた指導資料作成の議論も行う。高校の政治参加教育につながる展開やインクルーシブ教育推進の理念を押さえた視点を重視。作業部会を設け、来年3月の完成を目指す。

西野座長は、今後の議論で意識したい3点として、▽政治的中立性▽社会参画力と学習評価▽系統性のある教育プログラムの確保――を提示。小・中学校の学習の違いを踏まえ、教員が安心して指導できる内容を目指したいと述べた。

委員からは、「子どもが早い段階から身近な政治課題に気付き、みんなで話し合う良さの芽を育てていければよい」「高校では、大学生などの若者が指導に関わる中で意欲的な主権者教育が進んだ事例がある。小・中学生の視点を踏まえた実効性のある学びを進めたい」といった抱負が聞かれた。

一方、「現在の学校で新たな学びを増やすのはとても困難。政治的教養を育む教育、主権者教育で育てたい力や学習プロセスをみると、既存の授業で行われている視点や内容もある。教育の目的をしっかりみつめ、これまでの学びの捉え直しや再編に意識を配りたい」という意見もあった。

同県では、平成23年度から全県立高校で、シチズンシップ教育として「政治参加教育」を実施。主権者教育の高校生向け指導資料を、国に先駆けて発行している。

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