所得連動型返還奨学金 貸与年齢制限で議論

新制度に向けた意見交換が進んだ
新制度に向けた意見交換が進んだ

所得連動返還型奨学金制度有識者会議は、第10回会合を6月3日、東京都千代田区の一橋講堂で開いた。新たな所得連動返還型奨学金制度に向けて、返還の長期化を踏まえた貸与年齢制限や経済情勢の変化を考慮した制度の在り方などで議論を深めた。

貸与年齢の制限では、今後、社会人が大学で学び直しを図る機会が一層高まり、中高年の奨学金利用が増加する状況などを想定。その場合、新所得連動型返還では、中高年齢で返還が開始された際、貸与額の多くが返還されない可能性があるとの論点が示されている。

これに対して委員からは、「社会制度としての均等性を考えると年齢制限を設けるのは疑問」「社会制度の均等性と国庫負担のバランスをどう考えるかが重要」などが出ていた。

また今後のデフレやインフレなどの経済情勢の変化を見据え、制度の安定性や公平性を随時見直すとの点にも言及。日本学生支援機構の奨学金返還額は物価スライドしない仕組みだが、新たな奨学金制度は、経済の変化をどのように考慮するか大きな議論が必要との訴えも示された。

平成29年度からの新制度開始を前に、すでに奨学金返還を始めている人や従来制度での奨学金貸与者への適用の在り方も論点となった。

課題では、既に奨学金返還を始めている者への新制度適用によって直近で返還額が減少する点に加え、新たな予算措置がなければ、翌年度以降の無利子奨学金貸与者を減らさざるを得ない状況が生まれるとの危惧が示された。

それに対して、「すでに、返還猶予や減額返還制度などの軽減策が実施されている。既返還開始者への新制度適用は、返還困難な者を対象にしてはどうか」などとの意見があった。

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