■教職員の1日を見つめた改善提案
ハンドブックでは、教職員の1日の勤務の流れを押さえながら、具体的な負担軽減の視点とアイデアを提案する。例えば、朝の打ち合わせ時間効率化では、ICT活用による「グループウェアの利用」を指摘。校内スケジュールの登録・確認や、掲示板機能で会議や情報共有の時短を実現できるなどとアドバイスする。
■市教委の制度の後押しが力強い支えに
同校では、これらの助言を参考にしながら、昨年から月1回、「ハッピーアフタースクール」と題し、基本的に全教職員が残業をしないで午後5時に退勤する日を設けた。木村校長は、「学校の長時間労働の課題は、長年言われ続けてきたが、なかなか改善が進まなかった。市教委の提案が出る中で、とにかく具体的な改善の一石を投じたいとの思いで実施した」と振り返る。
ただ、取り組みの当初は、教職員間でなかなか定時退勤は実現しなかった。しかし、制度化の支えがある中で、帰宅の促しや意識付けは進み、現在では、かなり定着してきたという。
そこで、今年度は、8月の夏休み期間に1週間、学校業務全体を基本的に休止する「学校閉庁日」を予定している。期間中は、学校が対応を行わず、電話による外部からの問い合わせも音声アナウンスを流す。そして、この間は、市教委が対応を肩代わりする。
同校長は、「市教委が期間中の対応を担ってくれるのはとてもありがたい。校務効率化に向け、具体的な制度設定による支援をしてくれるのは学校にとって大きな支えになる」と強調し、喜びの声をあげている。
■より良い教育活動実現に向けた効率化推進を
一連の校務効率化策について、同校長は、「大前提として、これらの効率化はより良い教育活動を実現するためにある」と前置きし、「チーム学校の下、管理職として、個々の教員の必要な仕事をしっかり押さえながら、全体の業務状況にしっかり気を配りたい」と話す。
その上で、「これまでは全教職員が永続的に多忙状態に置かれており、その場その場の対応だけにしか力も目も向けられなかった。こんな課題を少しずつ解消するのが大きな目標」と訴える。
また教員が長期的な視野で、教育活動と教職キャリア、仕事とプライベートを充実させるためのエネルギーを割けるように願っているという。
「抱え込みがちな教員には、冗談を交え、仕事の見切りや帰宅を促す声がけを明るい雰囲気で行い、一歩ずつ、杓子定規だけではない業務改善と効率化を実現したい」と、同校長は理想を掲げる。