学力格差克服へ 長い目で見ていく重要性語られる

学力格差克服に向けた取り組みが紹介された
学力格差克服に向けた取り組みが紹介された

大阪大学大学院人間科学研究科の志水宏吉教授と大阪府茨木市教委学校教育部の加藤拓次長は6月3日、「NEW EDUCATION EXPO2016」の中で、「『一人も見捨てへん』教育~学力格差克服に向けた取り組み~」をテーマにセミナーを行った。学力格差克服に向けた同市教委や学校の実践などについて発表した。子どもたちの学力格差克服について加藤次長は、「すぐに結果を求めるのではなく、長い目で見ていくのが大切」と語った。

同次長によれば、同市教委が平成20年度から行ってきた具体的な施策は、▽小・中学校に学習指導の専門支援員を配置▽全中学校にスクールソーシャルワーカー(SSW)を配置▽授業づくり推進交付金の交付(300万円)――など。

市内小学校の事例では、全国学力調査の平均正答率が全国平均を下回り、無回答の割合も平均の2倍との結果が出たうえ、学力格差も広がる一方だった。これを受け、23年度に専門支援員を配置し、授業内のグループ学習方式を積極的に取り入れた。放課後には、出席自由の「学びルーム」を設置し、ここでも、専門支援員による指導が行われている。

これらの取り組みにより、平均正答率は25年度に全国平均を上回り、児童の学力格差が縮小した。

成果がみられた理由として、(1)学力向上の担当者によるリーダーシップの発揮(2)管理職による学力向上担当者のサポート(3)決めた内容を全教職員で取り組む(4)市教委の事業を効果的に活用――の4つが挙げられた。

また小・中学校への進学時につまずいてしまう子どもが多いとの理由から、同市教委は26年度から、保幼小中連携教育も推進。

小学校6年生から2~3単元のまとめテストを行い、テスト勉強をする日を作ったり、中学校1年生の1学期に、連絡帳として自主学習ノートを活用したりしている。これにより、中1~3年生の不登校数が年々減少し、昨年度は24年度よりも31人減少した。

これらの取り組みに対して同次長は、「すぐに結果を求めるのではなく、長い目で見ていくのが大切」と強調した。

志水教授は「教員や学校全体での取り組みだけではなく、都道府県や市区町村など、学校を支える取り組みがより広がっていくのが求められる」と述べた。

 

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