SOS示す力の育成を 都が自殺防止教育連絡会開く

足立区の事例を具体的に説明した
足立区の事例を具体的に説明した

東京都教委は、都内全公立小・中・高校、中等教育学校、特別支援学校の校長などに向けた自殺防止教育連絡会を6月14日、都立多摩社会教育会館で開いた。自殺総合対策推進センターの反町吉秀地域連携推進室長は、自殺対策の最新動向と効果的な事例として、足立区でのSOSの出し方教育などを説明。参加した校長は、児童生徒の自殺防止に向けた対策や教育への理解を深め、学校での組織的な取り組み強化を誓った。

同室長は「児童生徒の自殺対策の新たな方向性」と題して講演。子どもの自殺のサインでは、疲れや不機嫌などの突然の態度変化、自殺をほのめかす言動、別れの用意、自傷行為などといった行動が現れる点を解説。

自殺兆候が見える相手との関わり方では、▽誠実な態度で話しかける▽自殺の思いがあるかはっきり尋ねる▽相手の訴えに傾聴する▽多様な関係機関とつながって安全を確保する――と指摘する。

相手と相談する際の心がけでは、▽温かみのある印象を大事に▽「よく来たね」などと援助希求の行動を評価し、支持する▽表層行動の背景にある問題解決を援助する▽「よく言えたね」などと相手のありのままを承認して助言する――などをアドバイスした。

自殺対策で教師がすべき役割では、「誰もが自殺の危機に陥る可能性があるとの前提で、他者にSOSや援助を求めるための具体的なスキルを伝える」点を強調。

SOSの出し方教育については、自殺リスクの高い児童生徒だけを見つめるのではなく、「全児童生徒」に実施するのが効果的と述べる。これにはヨーロッパでの研究結果の裏付けもあるとした。

同教育を先進的に推進する足立区では、地域の保健師が講師役を務めながら、区内の小・中・高校で児童生徒の自尊感情を高める特別授業を行っている。教委と衛生部が連携し、授業の指導案も共同作成する。関係機関の幅広いネットワーク構築によって問題に気付き、つなぐ体制も充実している。

授業は「ここまで生き抜いてきたあなたは、大切な人だから、苦しいときは信頼できる大人に相談しよう」というメッセージを伝えるもの。学校種に応じた内容が工夫されている。中学校では、いじめの被害者と加害者双方への語りかけ、高校ではデートDVへの対処を盛り込む。

パワーポイントのプレゼンテーション資料を使いながら「自分を大切にしよう」という温かな呼び掛けとつらいときの対処方法を提供。信頼できる大人を見いだす視点やSOSの出し方を助言する。心が折れそうな児童生徒に寄り添うさまざまな言葉も音声で流すなどと説明した。

子どもたちが相談したい内容を記すカードも配布し、教員や関係者が気付きを深められるようにしているなどの流れを示した。

同室長は「個別対応も重要だが、学校や地域全体で自殺対策の枠組みを強固にする努力が必要」と、参加した学校管理職に訴えた。

都が自殺防止を柱にした連絡会を実施したのは今回が初めて。6月9日に国立オリンピック記念青少年総合センターでも行い、全4回で都内各学校の校長約2200人が参加した。

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