大修館書店が報告書を提出 教材の無償提供で

文科省の担当者に報告書を手渡す鈴木社長
文科省の担当者に報告書を手渡す鈴木社長

大修館書店が教材の無償提供を行っていた問題で、同社の鈴木一行社長は一連の経緯の説明や今後の対応について、報告書をまとめた。6月28日に文科省を訪れ、文科省の担当者に報告書を手交した。

その後の記者会見で、同社長は一連の問題について、「残念であると同時に、申し訳ないと思っております」と、国民や学校関係者、教育関係者に向けて謝罪し、報告書を基に説明した。

高校に無償提供が行われていたと確認されたのは「Compass English CommunicationⅠ」の準拠教材である単語・文法練習ドリル「CompassドリルⅠ」と「Compass English CommunicationⅡ」の準拠教材である単語・文法練習ドリル「CompassドリルⅡ」の2冊。30の都道府県の91校に対し、計1万8241冊(ドリルⅠが1万2111冊、ドリルⅡが6130冊)を無償で提供していた。

無償提供は、副教材・補助教材等の販売が終了した3月下旬から4月下旬にかけて行われており、同社員が一方的に送付したケースと、高校の教職員に確認を取った上で送付したケースが確認された。教職員からの要求は一切なかったとして、「責任はすべて弊社にある」とした。

教科書の採択を期待通り得られず、各支店・営業所で在庫の整理の必要性が生じたのが背景にある。教材無償提供が、教科書宣伝行動基準に違反する行為との認識が社員たちに欠けていたと説明した。

また教材が48ページの小冊子で定価290円と、他教材と比べて低価格であったのも一因とされた。両ドリルとも、採用見本(サンプル)として毎年営業担当者の手に渡り、「採用見本」のシールを貼って営業活動を行うのがルールであった。このルールが十分に徹底されていなかったのが問題であると考えられている。

教材無償提供に関わった社員は、営業を担当する社員40人のうち半数の20人。支店長や所長ら3人も関わっていた。20人のうち、支店長・所長ら3人からは話が聞かれており、残りの17人からは「これから事情を聞いていく」とし、全員に対して聞き取り調査を行う予定とした。

今後の対応として、各営業担当が無償提供を行った高校を訪問。英語科の教員と校長に事情を説明し、回収への協力を依頼する。現時点で約70校から回収している。

関わった営業担当者や支店長・所長への処分は考えていないとしている。しかし、役職員の処分については、教材回収にめどが付いた段階で速やかに検討を行い、文科省に報告するとした。

再発防止に関しては、支店長・所長すべてに監査機関の協力を得てコンプライアンスに関する研修・講習を行う予定。社員一人ひとりに定期的にヒアリングを行い、同社独自の行動規範を策定していく。

鈴木社長は「今後こういうことが起きないように、私が先頭に立って組織の在り方を決め、行動規範等を作成し、採用見本の管理をどうしていくか決めていきたい。国民のみなさま、学校関係者や教育に携わっているみなさまにこれ以上ご迷惑をかけないよう、また業界の信頼回復に向け、自社の問題解決を一刻も早く行っていきたい」と述べた。

今年の事案は、外部からの情報提供によって明らかになった。その後の社内調査で、以前にも同様の事案があったと確認された。

27年には33都道府県の92校に1万9818冊、26年には27都道府県の73校に1万3681冊、25年には17都道府県の40校に5562冊が無償提供されていた。

また同社の他教科書「Genius English Communication」の単語・文法練習ドリルに関しても同様の調査を行っているが、現時点で2校に無償提供が行われていたと確認されている。

他教科での同様の事案の有無については、7月15日までに改めて報告するとした。

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