東京理科大学で実施されてきた松竹芸能(株)による講座「笑育」が7月13日、最終回を迎えた。
5月から開講されたこの講座には、教職課程の学生が多数参加しており、「教育実習に生かしたい」との声が相次いだ。
この日の最終回に学生たちは、「理―1グランプリ」と称した漫才グランプリで、自ら漫才を考えて披露した。
松竹芸能のスタッフによる審査が行われ、「わだにしこり」が優勝した。
学生は、▽自らの容姿をネタにする▽ロミオとジュリエット▽アイドルが大好き――などの漫才を好演。受講生の小張幸宏さん(3年次生)は、実際に体を日焼けさせて、それをネタに取り入れたという。
人前で話すのが苦手で発想力に自信のなかった学生が、自らの力で笑いを取る姿が見られた。
優勝したのは「わだにしこり」の和田一毅さんと錦織護直さんの3年次生コンビ。同学にからむネタを漫才に取り入れ、会場を盛り上げた。優勝をねらい、練習を積み重ねてきたという。
和田さんは「おもしろいことを考えると前向きになる」と笑顔で話す。「笑育」については「自分が何を伝えたいか、はっきりさせるのは教育現場でも必要だと思う。どうやれば伝わるのか、考えるようになった」「話し方や伝え方を意識するようになった」と語った。
錦織さんは「相手の良さをどう引き出すか、相手の心をどうつかめばいいのかを考えるようになった」と話す。
「わだにしこり」の2人は、8月に東京都の新宿角座で行われる松竹芸能のお笑いライブのステージにも立ち、漫才を披露する予定。
受講生の中には「最初は全然できないと思っていたし、怖かった。それを乗り越えて漫才ができたことを考えたら涙が出た」と話す学生も。自分で笑いを取るのを考えた経験はなかったが、同講座を受け、友人から笑いを取るようになったという。
松竹芸能の宮島友香さんは、学生の変化に驚きを感じたと話し、「これからの人生で、人に何かを伝えるときに、今回の授業を役立ててくれたらうれしい」と述べた。
東京理科大学理学部第一部教養学科教育支援機構教職教育センターの井藤元・専任講師は「全員が成長し、ポジティブな変化を遂げてくれた。本当にうれしい」と笑顔で話した。同講師は、これからも参加した学生たちを見守っていくという。