自民党の政治的中立性調査 識者から懸念の声も

既に投稿が締め切られた自民党の公式サイト
既に投稿が締め切られた自民党の公式サイト

国政選挙で初の「18歳選挙」となった参院選をきっかけに、自民党は「学校教育における政治的中立性についての実態調査」と題して、不適切な事例を同党サイトで募集していた。これについて識者は、「教育現場が萎縮する」「検証自体は理解できるが、懲罰的な処分をするのでは主権者教育の流れが止まる」と警鐘を鳴らす。

同党の実態調査サイトでは「高校等で行われる模擬選挙等で意図的に政治色の強い偏向教育を行うことで、特定のイデオロギーに染まった結論が導き出されることをわが党は危惧しております」と記述されていた。

この文言について模擬選挙推進ネットワークは7月21日に見解を発表。「模擬投票において偏向教育が行われやすいとの印象を受ける」として「看過できない」と強調した。さらに「政治的中立性」を過剰に意識するあまり実際の政党名を伏して模擬投票をしたり、選挙公報を配布するだけで、授業では政党名すら話さなかったりと、萎縮した教育現場の事例を示した。

同ネットワークワーク代表で事務局長を務める林大介東洋大学助教は、こうした見解を示した理由について「模擬投票が偏向教育を助長する行為だと誤解されては困る」と話す。

また同党がサイトで投稿者の氏名や連絡先とともに「いつ、どこで、だれが、何を、どのように」との形式で事例を募集した点については「密告サイトのようなやり方だと教育現場が萎縮してしまう」と批判した。

林助教は今後、自民党議員と意見を交換する機会を設け、「不適切な事例だけでなく好事例もあわせて示すなど、主権者教育の在り方を提案していきたい」と語る。

一方、「不適切な事例は検証する必要がある」と訴える識者もいる。

長年、小・中学校からの主権者教育の重要性を示してきた中教審委員で政治解説者の篠原文也氏は「不適切な事例を検証し、どこに問題があったのか調査する必要がある」との考えを示す。こうした事例を基に、18歳、19歳の投票率だけでなく投票の質を高める中長期的な施策を打ち出すべきだと提案した。

同党が今秋の臨時国会で、教特法を改正し、中立性を逸脱した教員に罰則規定を設ける検討をするとの動きについては「最初からそういうシナリオができているように思える」と推測。中立性確保のためには、与野党がチェックする機関を設けるほか、教育現場のためのガイドラインを作成する必要があるとした。

同党は、公式サイトで実施していた「学校教育における政治的中立性についての実態調査」を18日付で終え、投稿フォームを19日未明に閉鎖した。作成を指示した木原稔党文部科学部会長は、寄せられた事例の一部を文科省に情報提供して対応を求める考えも示している。

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