東京都八王子市は、市制100周年と太平洋戦争の終戦記念日を踏まえ、第31回平和展を8月15日まで、同市内の学園都市センターなど3会場で開いている。
戦後70年が経過する中で、戦争の悲惨さや平和の尊さを子どもたちを中心に伝えたいと開催。多くの小・中学生が調べ学習などで訪れ、地域に残された戦争の爪痕への学びを深めた。
会場には、昭和20年8月に起きた同市空襲の様子と被害を伝えるパネルが展示された。米軍のB29爆撃機約170機が焼夷弾で空爆。市内中心部の大半が焼失し、約2450人が死傷した惨事を伝える。
空襲直後の様子として、瓦礫の山となった八王子駅や警察署などの写真を掲示。街に投下された実物の焼夷弾の破片なども並んだ。
子どもたちへの戦争体験の伝承として、この空襲を題材にした朗読劇や紙芝居も行われた。同市に疎開中に空襲で命を落とした子どもを悼み、寺の地蔵にランドセルを背負わせて弔った話などが伝えられた。
自由研究で訪れた小・中学生は、展示を見たり話を聞いたりしながら、自分たちの住む街で起きた過去の戦争の悲劇を知り、それぞれの記憶に刻んでいた。
同市の小学校5、6年生と中学生による「平和の絵」も展示。各自が願う平和な世界のイメージを絵画で表現した約100作品が掲げられた。
美しい虹を背景に、世界中の人々が仲良く手をつないでいる様子などが描かれている。
広島と長崎の原子爆弾の悲劇を伝える資料展も併設。広島で被爆した中西靖文さんが当時の体験を話す場も設けた。
現在の世界紛争の様子にも理解を深めるため、シリア難民の避難キャンプ生活の様子や子どもたちが平和を願って描いた絵画なども公開されている。