次期学習指導要領審議まとめ案 合田教育課程課長に聞く(1)

m20160810_01次期学習指導要領の方向性が示された「審議まとめ(案)」が8月1日の教育課程企画特別部会で公表された。新しい時代に求められる資質・能力を子どもたちに育む「社会に開かれた教育課程」の実現を掲げた。小学校外国語(英語)の教科化や高大接続で教科再編など大きく変わる次期学習指導要領。アクティブ・ラーニングやカリキュラムマネジメントなど重要なキーワードが盛り込まれているこのまとめ案について、そのポイントを、文科省の合田哲雄教育課程課長に聞いた。(全2回連載)


全体像見通す「学びの地図」を示す

――今回の学習指導要領まとめ案のポイントは。

長い間、「ゆとり」か「詰め込み」かとの議論が、社会の中でなされてきた。

前回の改訂で、それを乗り越え、言語活動を通じて、子どもたちの力を育んでいくとの方向性となった。だが、前回の改訂のときもそうだが、言語活動べースではなく、「何のための教育課程か」「何のための学習指導要領か」との視点が示された。つまりは、「資質・能力をどう高めるか」が本筋だと思っていた。

しかし、10年前は、カギかっこ付きで「学力低下」や「ゆとり教育」の問題をどう乗り越えるかが課題となり、「資質・能力をどう高めるか」まではたどり着けなかった。

平成20年度の改訂から、学校現場で相当な実績が積み上げられてきた。こうしたなか、今回のまとめ案では、「子供たちの知識・理解の質を高めていく」との視点をもったのは、戦後70年を経て、初めてではないだろうか。

要するに、「どういう学びを育もうとしているのか」を真正面から議論できるようになった。これは日本の教育をゼロから組み替え直すということではない。

これまで日本の学校教育が130年間、積み重ねてきた知恵や経験によって、子どもたちの資質・能力をどう引き出していくかとの観点で整理している。つまり学校教育を通じて子どもたちが身に付けるべき資質・能力や学ぶべき内容、学びの見通しの全体像を見渡せる「学びの地図」を示すことなのである。

――「確かな学力」「健やかな体」「豊かな心」を総合的にとらえて構造化するというのは。

構造化とは、一つひとつの知識をバラバラに教えるのではなく、知識を習得する過程で考えさせたり、組み替えさせたりして課題を解決さていくこと。そうした力を育むには「思考力・判断力・表現力等」と「知識・技能」「学びに向かう力・人間性等」は互いに重ね合わせる必要がある。

教育現場で何より大事なのは、「何のための知識か」「何のための思考力か」で、それを考えないといけない。その目的は、自分の人生や社会をよりよいものにしていくということである。

また「知識・技能」と「思考力、判断力、表現力等」「学びに向かう力・人間性等」のそれぞれで見ていくと、教科の本質が見えてくる。例えば、社会科の知識はそれ自体で意味がある。歴史の因果関係で捉えるとの見方からどう知識をつないでいくのか。こうした見方が大事である。

その一方で、体育や音楽、特別活動などは知識を習得するだけなく、活用しないといけない。まさにスポーツをしたり、芸術表現をしたり、実際に学級活動で話し合いをしたりと、身体化して初めて意味がある。育成すべき資質・能力の三つの柱から見ると、教科で特質があるのが分かってきた。

――横断的な学びとは。

防災教育や消費者教育、安全教育、主権者教育などの「〇〇教育」といわれるものには、現代的な課題が各教科にある。

例えば消費者教育をみると、中学校家庭科では、クーリングオフの手続き、高校の家庭基礎では、多重債務者にならないように複利計算の仕方などを知っておくべきだが、あまり知られていない。そういう学びと実生活をどう結び付けて考えるかが重要である。

それは防災教育や主権者教育でも同じである。教育課程の構造化は、学校教育のもっている縦・横のつながりを明確にしている。授業事例集や解説などで、主権者教育や消費者教育などが、それぞれの教科でどうつながっているのかとの「地図」を参考資料として添付するのを考えている。これを参考に、どのように授業デザインしていくか考えてもらいたい。

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