次期学習指導要領審議まとめ案 合田教育課程課長に聞く(2)

 

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次期学習指導要領の方向性が示された「審議まとめ(案)」が8月1日の教育課程企画特別部会で公表された。新しい時代に求められる資質・能力を子どもたちに育む「社会に開かれた教育課程」の実現を掲げた。小学校外国語(英語)の教科化や高大接続で教科再編など大きく変わる次期学習指導要領。アクティブ・ラーニングやカリキュラムマネジメントなど重要なキーワードが盛り込まれているこのまとめ案について、そのポイントを、文科省の合田哲雄教育課程課長に聞いた。(全2回連載。1回目配信はこちら


マネジメントの肝はPDCAサイクル

――カリキュラムマネジメントをどう実現していくのか。

カリキュラムマネジメンはPDCAサイクルの話である。子どもたちの学習状況を把握し、授業や教材などをどうマネジメントしていくのかということである。

そのマネジメントは教務主任だけでなく教壇に立つ教員の視点も重要だ。子どもたちと教員との時間をいかに生きた時間にするかは、時間、情報、教育内容などのリソースを、どう組み合わせていくのかにかかっている。教員のみなさんには、指導に全力投球をするだけなく、脚本家、演出家として授業全体をリードしてもらいたい。

これを実現するには授業の即興性が求められる。アクティブ・ラーニングのような「主体的な学び」や「対話的な学び」「深い学び」を重視すればするほど、子どもたちの思いもつかないつぶやきが現れる。こうした現象を取り入れながら授業を展開していく必要がある。

それがカリキュラムマネジメントの肝となる。

――アクティブ・ラーニングの話がでたが、どのように活用していけばよいのか。

グループ討論やプレゼンは、アクティブ・ラーニングの一つのやり方。単元のすべてをアクティブ・ラーニングで指導するというのではない。

教員自身が子どもたちをアクティブ・ラーナーにするためにどういう手順でやっていくのかを考えないといけない。目の前の子どもたちの現状を見て、アクティブ・ラーニングを活用すべきだ。

知識が不十分であれば、まずは知識の習得を図っていき、次の展開にもっていく授業デザインが必要だ。

知識の習得は一見、学び直しや教え込みに見える。だがこれは、対話的な学びや探究的な指導をすれば、その過程がアクティブ・ラーニングだと思う。

今回の審議まとめ案では、子どもたちの資質・能力を高めるのが目標である。手段としてアクティブ・ラーニングに基づく授業改善は、あくまでも手段である。これしかないという考えは危険だ。さまざまな指導方法を活用するための広い視野をもってもらいたい。

――次世代型教育推進センターでアクティブ・ラーニングの事例集を示すと言われているが。

アクティブ・ラーニングの事例集をアーカイブスで共有していきたいと思っている。

次世代型教育推進センターでは、全国の好事例を集めている。これには基礎学力の習得を重視したものや、発展的な学習の事例もある。

生徒の学習状況を踏まえ、いろいろな対応ができるように情報を集めて共有していく。

次世代型教育推進センターの職員から「全国の学校では既に取り組まれている指導方法や新しい指導方法もある」と聞く。

これらの指導方法が混ざり合って新しいものが生まれればと思っている。この事例集は、そのためのトリガー(引き金)になってほしい。

――小学校外国語(英語)が教科化され、授業数が増加する。そのモデル授業数については。

小学校外国語の教科化には、モジュール学習に対応した教科書やICT教材、地元の人材を活用するなど条件整備も必要だと思っている。

だが、小学校高学年では、「読み」「書き」まで領域を広げたイメージがない。思考が抽象的になっていく高学年で外国語が教科化される。こうした現状のなかで、小学校の教員は不安に思っている。

だから、モデル授業数を示そうとなった。早い段階でイメージできるように、できるだけ早く公表してきたい。

また小学校だけでなく、中学校英語の質的な改善が求められている。「話す」「聞く」「読む」「書く」の4領域(技能)の観点からいけば、中高の英語も変わらなければならない。

――高大接続改革で高校の教育課程が大きく変わったが。

平成20年度の改訂では「学力低下」の議論があり、義務教育が中心となった。だが今回の審議まとめ案には高大接続改革で、高校の各教科が再編された。その一つとして地歴公民科では、「どうしてこういう時代に生きているのか」という共通の軸がある。その時間軸は「歴史総合」、空間軸は「地理総合」だ。そして現代を自分事として捉えるのが「公共」となった。これからもいろいろと検討事項があるが、ある程度成熟してきた。

今回の「歴史総合」では、知識も大事だが、歴史的なものの見方や考え方を重視した。そのなかで「日本史探究」「世界史探究」を創設した。これにより、概念的な知識を身に付ける方向性となった。

だが、指導者をどう育成するかとの課題がある。奈良県にある高校を視察したとき、日本史を指導していた副校長が、歴史的な素材を生かしながら授業をしていた。知識だけでなく、地域にある歴史的な遺産で、体験的な学習をしてもらいたい。

このような授業ができるように、教員研修についても今後、考えていく。

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