読解力向上ねらい協議会設置 科学的研究を加速

大学共同利用機関法人情報・システム研究機構国立情報学研究所(NII)はこのほど、産学連携の「教育のための科学研究所」準備協議会を設置した。知識基盤社会で生きていく上で重要とされる「読解力」に関して、科学的研究を加速させ、文意を正確に読み取れない理由の分析を行うことで、読解力の高低に関する要因を特定し、不足する部分を補う教育方法の考案につなげる。子どもたちの読解力を高め、日本の教育の質的向上に取り組む。

協議会は、中学校卒業時点で、全ての生徒が教科書を正確に読めるのを目指している。デジタライゼーションによる新たな職業の誕生や、人工知能やロボットによる労働力置き換えといった社会変化に対応した教育を行うため、NII、(学)高宮学園代々木ゼミナール、㈱ベネッセコーポレーション、東京書籍㈱、日本電信電話㈱、富士通㈱、が連携し、科学的に大規模で客観的なデータ収集をしていく。㈱野村総合研究所未来創発センターが協賛する。

NIIでは、リーディングスキルテスト(RST)を開発し、子どもたちの読解力を診断してきた。公立中学校などの生徒340人を対象にした予備調査では、約5割が教科書の内容を読み取れず、約2割は基礎的・表層的な理解ができていない実態が明らかになった。

予備調査の設問の1つでは、「仏教は東南アジア、東アジアに、キリスト教はヨーロッパ、南北アメリカ、オセアニアに、イスラム教は北アフリカ、西アジア、中央アジア、東南アジアにおもに広がっている」との記述について尋ねた。「オセアニアに広がっているのは( )である」のかっこに当てはまる選択肢として「A ヒンドゥー教 B キリスト教 C イスラム教 D 仏教」を挙げたところ、正答の「B」を選んだのは公立中学校53%、中高一貫校前期課程64%、公立高校81%だった。

RSTでは読解力を「教科書や新聞、マニュアルや契約書などのドキュメントの意味や意図を、どれほど迅速で正確に読み取れるかの能力」と定義している。