埼玉の16歳殺害で教委が会見 SC派遣で心のケア

後の市教委の対策について説明する中村教育長
後の市教委の対策について説明する中村教育長

埼玉県東松山市の河川敷で、同県吉見町の井上翼さん(16)が遺体で発見された事件で、逮捕された5人のうち2人が市内の中学生だった。これを受けて同市教委は8月30日、記者会見を開き、当該中学校でほかの生徒に動揺が広がらないよう、スクールカウンセラー(SC)を派遣するなどの対策をとるとしている。また逮捕された2人は、学校で問題行動をたびたび起こしていたという。

市教委は今後、当該中学校2校に、SCや臨床心理士を、2学期が始まる9月1日から派遣すると決めた。教職員の心のケアも行う。30日以上欠席している不登校児童生徒だけでなく、30日未満の欠席児童生徒にも、きめ細かい対応をするとした。

このほか、市内にある16小・中学校の全クラスで2学期開始後、1カ月以内に「生命尊重」に関する道徳の授業を行うなどの再発防止に取り組んでいく。

逮捕された2人は、中学校3年生の15歳と14歳。在籍するそれぞれの中学校は、東松山署、民生委員、PTAなどで構成される非行防止推進ネットワーク会議に参加している。会議では2人の名前が挙がっており、地域で見守っていこうと話していた矢先に、殺人事件の疑いで逮捕された。

2人は「パズル」といわれる不良グループの集会に参加していたとみられる。

15歳の少年は、3年生になってからほとんど登校していなかった。教師に対する暴言や胸ぐらをつかむなどの暴力行為をしていたという。

一方の14歳の少年は遅刻が目立っていたが、部活動に力を入れており、学校には通っていた。8月5日の大会で部活動から引退していた。

学校側はこうした2人に対して、夏休み中には保護者に連絡をとるなどして対応をとっていた。

井上さんは同県立吹上秋桜高校に通っていたが、中退。その後、コンビニでアルバイトをしていた。同高校によると、井上さんが不良グループに入ったとの噂が広がっていたという。

また逮捕された川越市の中学校3年生15歳も、同市内の中学校に在籍していた時期がある。だが、ほとんど学校に来ていなかったという。

中村幸一教育長はこの事件について「重く受け止めている。今後を考えたとき、未然防止のためにこの事案を検証し、学校に対して指導してくのが教委の責任だ」と強調した。また遺族に対しては「心からお悔やみを申し上げる。深い憤りを感じていると察せられる」と思いを語った。

井上さんの遺体が見つかった河川敷には電灯がなく、夜になると真っ暗になり、人があまり近寄らない。

台風の影響で水かさが増した川を見に来た武蔵漁業協同組合の男性(65)は「この周りには外国人が勤めている会社があるので、たまに中国人やブラジル人が日中に騒いでいる。だが、暗くなるとここにはあまり人は通らない」と現場の様子を語る。

また同市内のタクシー運転手の男性(67)は「パズル」について、「駅前で赤いつなぎを着た若者たちが、週末になるとよくたむろっていた。警察が頻繁にきていたようだ」と話す。

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