なぜ教員に訴訟を起こされるのか? 全連小に聞く

全連小の千木良康志対策部長
全連小の千木良康志対策部長

なぜ、学校や教員が児童生徒の親から訴えられるのか――。

千葉県柏市立小学校で起きた児童の重症事故をめぐる訴訟は9月2日、和解の承認を求める議案が市議会に提出されたが、全国的に、学校や教員の責任を問う訴訟は後を絶たない。どこに問題や課題があるのか。全連小の対策部長である東京都台東区立黒門小学校の千木良康志校長に聞いた。

――なぜ訴訟を起こされるのか。

訴訟になるほどの問題はたいてい、けが、いじめをめぐるトラブルだ。保護者が学校、教員に対して弁護士を立てる。例えば「いじめられるのは校長の指導が悪い」などの理由で、訴訟が起こされる。だが訴訟に対して、学校も教員も「無防備」だ。

――無防備とは。

学校には顧問弁護士がいない。教員の場合、訴訟が起きた場合は個人で対応するしかない。そのため、特に訴訟対象になりやすい校長や副校長は、個人で「訴訟保険」に入っている。一般の教員の加入者も増えていると聞く。皆、自費で入っている。

――訴訟になってしまう原因は。

教員の保護者対応の力が不足している面があると思う。全連小が平成27年度に行った、校長が考える「若手教員に不足している資質・能力」のアンケートでは、例年は学習指導力や生活指導力が上位だったのが、これまでランクインしたことがなかった保護者対応の力がトップになった。また危機管理能力も5位に入った。また「大学等教員養成段階で育成すべき資質・能力」でも、その2つが回答に挙げられている。保護者対応の力や危機管理能力の不足が原因で起きるトラブルが増えているのだと思う。そもそも訴訟になるときには、一般的には初期対応の甘さがある。言ってみれば「予知予見能力」だ。初期対応をしっかりして、保護者とちゃんと連携できれば、訴訟にまではいかない。

――課題は。

制度の面と、教員の能力の面のそれぞれで課題がある。まず制度の面だが、「訴訟保険」の制度化は必要だ。同様に、スクールロイヤーの取り組みについても評価したい。まだ詳細が分からないところもあるが、前進させてほしい。そして教員の能力の面では、保護者対応の力や危機管理能力をしっかり身につけることが重要だ。アクティブ・ラーニングや体育をはじめとして、活発な授業を目指せば、けがをする可能性は避けられない。けがの手当や救急車の判断などといった初期対応と、保護者と連携できる能力を身につけなければならない。

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