日本の教育はどう変わるか? 寺脇研氏に聞く

寺脇研元文科省審議官
寺脇研元文科省審議官

次期学習指導要領の審議まとめ案が示されて約1カ月。ミスター文科省と呼ばれ、ゆとり教育のスポークスマンとして知られた元文科省審議官の寺脇研京都造形芸術大学教授は、アクティブ・ラーニングには、ゆとり教育や総合的な学習の時間の本質が受け継がれていると指摘する。日本の教育は次期学習指導要領でどう変わるのか、寺脇教授に聞いた。

――次期学習指導要領をどう位置づけるか。

臨教審の答申から来年で30年になるが、その間になされてきた量か質かという問題に、「質の転換を図らなければいけない」という臨教審答申が目指していた方向で、はっきり決着がついた。アクティブ・ラーニングは50年も前から使われている言葉なのに、いま唐突に出てきたからややこしいのであって、総合的な学習の時間を中心に、平成14年度から実施の学習指導要領で目指したことを着実にやっていこうと説明すれば、現場にはよく分かると思う。

――現場の受け止め方はどうか。

小・中学校では、文科省や教育委員会も説明しているから、特別に新しいことをやらなければいけないとは思ってはいないだろう。しかし、高校は、これから大変だと思ってやってもらわなければいけない。むしろ、高校は混乱しないほうがおかしい。

――高校は変わるのか。

学びの質の変化に対応できていない高校に、いよいよメスが入る。高校が自分たちで変われないのならと、教科が大幅に変わった。「公共」など、高校教育が変わらざるをえない内容が入ってくる。質の転換については、小・中学校はかなり取り組んできているので、これで高校がちゃんとやってくれれば、日本の教育は首尾一貫する。特に変わらなければいけないのは、進学系の高校だ。進学系の高校が変わると、大学も大教室で垂れ流しの講義をやっていられなくなる。

――大学への影響は。

私自身もいま大学で教えているが、学生の側に立たないと、学生が来なくなるという危機感を持っている。アクティブ・ラーニングにはいろいろ批判はあるが、そういう変化が出てくると、大学も変わらざるをえなくなる。「大学の教育が変われば日本の教育が変わる」、「大学入試が変われば日本の教育が変わる」と、戦後ずっと言い続けられてきた。それで、センター試験や共通一次試験といった、いろいろな取り組みがなされた。でも、それでは変わらないと分かってきた。なぜなら大学は、自発的に教育を変える義務がないからだ。そのために、「まず小学校が変われば中学校が変わる。小・中学校が変われば高校が変わる。高校までが変われば大学が変わるし、大学入試も変わらざるをえなくなる」とよく言われてきた。この大学入試改革問題は、センター試験や共通一次試験のときのように、文科省の命令で変えるのではなくて、そこへ誘導されかかっている。だからここにきて高校が変わってくれれば、小学校から大学まで、日本の教育が学習者主体に変わってくるはずだ。

次期学習指導要領は評価している。細かいことをいえばいろいろあるが、そんな細かいことを議論して混乱するより、大局的にものを見ていかなければならない。

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