仙台いじめ自殺で遺族が要望書 文科省は再発防止へ

遺族から要望書を受け取る文科省児童生徒課の坪田課長
遺族から要望書を受け取る文科省児童生徒課の坪田課長

仙台市立館中学校1年生の男子生徒(当時12)が平成26年9月に自殺し、背景に継続的ないじめと学校の対応の不備があったとされている問題で、生徒の遺族(父親)は10月27日、文科省に要望書を提出した。

父親は「いじめによる自殺がなくならない現状を踏まえ、遺族の代表として、いじめ防止に対する提言書を出させていただきます」と述べた。文科省の担当者は「しっかりと受け止める」とし、提言を生かし、再発防止を図る意向を示した。

その後、父親は文科省との話し合いを実施。記者会見で「十分ご理解いただいた。成果はあった」と語った。

提言は、▽毎年1、2回、各都道府県や市町村の教育長に対し、いじめ防止対策に対する教育または研究会を実施▽小・中・高校生に対し、SNSへの年齢制限や教育時間を設置▽重大事態発生時には、第三者委員会の資料を提出させ、処分対象者や処分内容を決める▽第三者委員会に県外の有識者を加える▽いじめの加害生徒の悪質度に対し、加害生徒の教室の変更や隔離授業、転校など、被害生徒の安全を図る基準を設置――などの10項目を文科省に求めた。いじめ防止は国(文科省)が主導となり、なくすよう努めるべきとした。何らかの処分が教員にも与えられるようなガイドラインの策定も求めた。

加害生徒に対しては、「からかいや遊びだからいいとはならない。言葉は暴力。言葉で人を殺せる」と述べ、言葉の使い方を改めるよう訴えた。

父親は、滋賀県大津市で起きた市立中学校2年生男子生徒の自殺事件にもふれた。同市では10月19日、越直美市長がいじめを苦に自殺した男子生徒の父親とともに、いじめ防止対策推進法の改正を求める要望書を文科省などに提出した。一方、仙台市の父親は、奥山恵美子仙台市長や大越裕光教育長の協力を得られなかった。奥山市長への相見の申し出も断られたという。

これに対し、「私の力不足」とし、「これ以上いじめが起こらないように、私のような思いを他の人にさせないでほしい」と述べた。

父親は今年に入って2回、文科省の担当者と電話でやりとりしている。この中で、直接会ってとの話が出て、この日の話し合いが行われた。

父親によると、男子生徒が自殺を図ったのは、26年9月21日午後4時ごろ。自室のクローゼットの中にゲーム用のコンセントを引っかけ、首を吊った。母親の発見が早かったため、すぐに大学病院に搬送。一命は取り留めたが、1週間後の27日に亡くなった。

自殺を図る前日、単身赴任で他県にいた父親は、息子からの電話で「いじめられている」との話を聞いた。父親は息子に対応すると約束していたが、果たせなかった。

自殺する前、母親は学校に何度も改善を訴えていた。学校では学年集会などで生徒たちに呼びかけていたが、男子生徒は周りから「チクっただろ」と言われていたという。

生徒の自殺をめぐり、市教委の第三者委員会は調査を実施。今年3月の第2次答申で、いじめが自殺につながったと指摘した。

遺族は、第三者委員会がいじめに係わったと昨年6月の第1次答申で認定した同学年の男子生徒11人のうち、関与度が高いとされる8人を提訴。市と同級生の男子生徒8人に約5500万円の損害賠償を請求した。10月3日には、訴訟の第1回口頭弁論が仙台地裁(大嶋洋志裁判長)で行われ、市と生徒8人は請求の棄却を求めた。

遺族は訴訟に先立ち昨年12月に仙台簡裁に調停を申し立てたが、6月に不成立に終わった。

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