貧困児童の新たな居場所第一号 実態分析し有効策探究

スタッフは子供を受け止める関わりを重視
スタッフは子供を受け止める関わりを重視

(公財)日本財団は、㈱ベネッセホールディングスや自治体などと連携し、「子どもの貧困対策プロジェクト」を展開。貧困課題を抱えた子供たちに、家でも学校でもない「第三の居場所」を提供すべく、第一号拠点を埼玉県戸田市に建設。11月9日から運営を開始する。居場所に集う子供は思い思いに過ごし、アクティビティーを交え、読書活動などで自己肯定感や学習意欲、社会性を育む。子供の行動や変化を記録し、検証し、効果的な実践や施策を見いだすのにも役立てる。

同財団は、子供の貧困問題に対するより有効な対策を検討する中で、「社会的相続」に着目。これは、各家庭で親が子に金銭や時間を割いて、引き継ぐ生活習慣、価値観など自立する力の伝達行為。貧困家庭では、これが欠乏し、ゆがんだ形で相続されがち。子供の自立力、人や社会と関わる力、学力、学習意欲、自己肯定感などにも強い影響を及ぼす。

また同プロジェクトでは、貧困家庭の子供を地域全体で支えるコミュニティが、現在はほぼ崩壊していると指摘する。

そんな状況や国内外の研究を踏まえ、この居場所では、子供たちの社会的相続の「補完」機能と場の「再構築」を図る視点を重視した。

利用対象は小学校1~3年生。「社会的相続は低年齢期であるほど効果的な可能性が高い」との、2000年のノーベル経済学賞受賞者のジェームズ・J・ヘックマン教授の研究に基づく。

子供たちが学校での学びを終える月~金曜日の放課後から午後9時まで利用可能。児童指導員やソーシャルワーカーなど専門スタッフが常駐し、子供たちには受容的な関わりを重んじる。

白壁の明るい部屋。大小に区画された部屋でみんなでわいわい、少数でゆったりも過ごせる。訪れる子供が思い思いに過ごす環境を基本に、ゆるやかで自由参加の各種の学びも提供する。交流を織り交ぜた独自の読書活動で人と関わる力や語彙力などを向上。宿題や個別学習のサポート、いろいろな遊びや体験活動も行う。

夜、家に保護者不在の子供たちのために、栄養バランスが取れた夕食も提供。子供たちも準備や片付けを担い、自律的な生活習慣の育成を図る。保護者の子育て相談にも応じる。

同財団は「現状では、行政による子供への貧困対策は十分な実態把握や検証がされていない」とし、同居場所では、子供たちの様子や変化を記録し、エビデンスに基づく短中長期的な有効施策を見いだしたいとする。
今後数年間で全国100カ所の「居場所」創設を目指す。

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