全日中も財務省案に抗議の要請書 首相らに提出

財務省が11月4日に財政審に示した、平成38年度までの10年間で教職員数を約4・9万人削減するとした案に抗議するため、全日中(榎本智司会長)は11月16日、「教職員定数の更なる充実に向けた緊急要請書」を、関係国会議員に提出した。

要請書は榎本会長名で出され、安倍晋三首相、麻生太郎財務相、菅義偉官房長官、松野博一文科相をはじめとする、国会議員約90人の議員会館や事務所などに持参。財務副大臣、政務官ら財務関係議員、自公の衆議院文部科学委員、参議院文教科学委員にも提出した。

全連小も同様の要望書を、11月10日付で提出している。

全日中の「教職員定数の更なる充実に向けた緊急要請書」全文は、次の通り――。

◇  ◇  ◇

教職員定数の更なる充実を求める緊急要請書

日頃より、中学校教育の発展・充実のためにご尽力いただいておりますことに心から感謝申し上げます。

さて、国の財政制度等審議会等において、学校の実情を十分把握せず、少子化や費用対効果に着目した教職員定数の削減ありきの議論がなされていることについて、教育の質的向上の妨げになると強い憂慮の念を抱いております。

義務教育はナショナル・ミニマムであることから、少子化や費用対効果の観点のみで教職員定数の合理化を議論せず、複雑化・困難化・多様化する学校の実情を踏まえて判断することが必要です。

また、子供たちが、安定的に学ぶ環境を確保・充実し、その未来に責任を持つことは、私たち、そして国の責務であります。

今日の我が国は少子高齢化・知識基盤社会・グローバル化などの社会の急激な変化の中にあって、学校現場は、いじめ・不登校等への対応や低所得世帯の生徒の学力向上、発達障害や日本語指導が必要な外国人児童生徒など特別な配慮が必要な生徒への対応が重要な課題となっています。特別支援教育は、障害による困難を克服し自立を図ることを目指すものであり、ペーパーテストの結果だけでその効果を測ろうとすることは、現に教育を受けている子供たちやその保護者、教員など全ての関係者の思いや日々積み重ねている努力を踏みにじるものであります。また、アクティブ・ラーニングや次期学習指導要領の実施に向けた指導体制を構築するため、子供たち一人一人にきめ細かな教育を行うことも学校現場に求められています。

このように学校を取り巻く課題は複雑化・困難化・多様化しており、目の前の一つ一つの課題をしっかり見据えた堅実な教育の取組が重要になっていますが、OECD国際教員指導環境調査(TALIS2013)によれば、日本の中学校教員の一週間当たりの勤務時間は参加34ヶ国中最長であり、他国と比較して授業の他に課外活動や事務業務等にも多くの時間を費やさざるを得ない勤務実態となっております。

そのような状況においても、日本のPISA2012の順位はOECD諸国の中でトップクラスとなっており、教員が子供たちのために時間を惜しむことなく心血を注ぐとともに、これまでの教職員定数改善により種々の課題に対応できたからこそ得られた成果であります。

そこで、全日本中学校長会としましては、下記のとおり要請いたします。

安倍総理は内閣の最大の目標として「一億総活躍社会の実現」を掲げられました。この「一億総活躍社会の実現」を図るためにも、次代を担う子供たちの豊かな学びを支える学校教育環境の充実が必要です。

そして、学校教育環境の充実のためには、教職員の安定的・計画的な配置を行うことが必要不可欠です。

教職員定数の改善については、小学校1年生の35人学級が継続されたものの、中学校における学級編制基準改善への道筋については未だ不透明な現状です。

第7次教職員定数改善以降、11年もの間改善計画がないことから、国は、第2期教育振興基本計画に基づき、新たな教職員定数改善計画を策定し、小・中学校の35人学級の実現など計画的に教育環境の向上を図ることを強く要請します。

また、特別支援教育の充実、外国人児童生徒等の支援、貧困による教育格差の解消、いじめ・不登校等の未然防止・早期対応、アクティブ・ラーニングの視点に立った学びの推進等、様々な教育課題に対応するための加配措置を充実することを併せて強く要請します。

関係の皆様におかれましては、中学校教育の実態をご理解の上、教職員定数の更なる充実に、何卒ご支援を賜りますようお願い申し上げます。

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