小児慢性疲労で学習意欲低下 報酬の感受性低下が関与

n20161116_05%e5%b0%8f%e5%85%90%e6%85%a2%e6%80%a7%e7%96%b2%e5%8a%b4小児慢性疲労症候群では、報酬の感受性が低下する。脳領域の活性が低下し、学習意欲の低下を招く――。理研ライフサイエンス技術基盤研究センター健康病態科学研究チームと熊本大学大学院生命科学研究部の共同研究グループが、機能的磁気共鳴画像法(fMRI)で明らかにした。

小児慢性疲労症候群(CCFS)では、3カ月以上持続する疲労、倦怠感、睡眠・覚醒リズム障害を伴う。不登校児童生徒に発症が多く見られる。学習意欲、記憶力、注意力の低下が学校生活への適応を妨げる可能性があるので、病態と脳機能との関係を解明するのが課題となっていた。

一方、意欲と密接な関係を持つ脳機能の1つとして「報酬感受性」がある。この感受性が高いと、少ない報酬でも報酬感が比較的に得られやすく、意欲喚起につながる。これは、学習などの行動の持続性を支える要素となる。逆に低いと、意欲低下につながる。

しかし、CCFS患児での報酬に関する脳内メカニズムは、解明されていなかった。

そこで共同研究グループは、CCFS患児13人と健常児13人を対象に、金銭報酬を伴うカードめくりゲームをしているときの脳活動の状態をfMRIで測定した。

その結果、CCFS患児も健常児も、高い金銭報酬を得た場合(高報酬)には、線条体(尾状核と被殻=図)と呼ばれる脳領域が活性化していた。

だが、低い報酬しか得られなかった場合(低報酬)には、CCFS患児の被殻の活性度が健常児に比べて低下していた。

次に、この被殻の活性度が、疲労症状の程度や、普段の学習で十分な評価や成績を得られているか(学習による報酬感)の程度と相関しているか調べた。その結果、疲労の症状が強いほど、また学習による報酬感の程度が低いほど、低報酬獲得時の被殻の活性度が低かった。

これらの結果から、CCFS患児の学習意欲低下には、低報酬知覚時に線条体が活性化されていない状態、つまり、報酬感受性の低下状態が関係している病態が明らかになった。

線条体はドーパミン神経が豊富に存在する脳領域。報酬知覚時のドーパミン神経の活性低下が、意欲低下および学習行動の持続性の低下と関連している可能性が推察される。

CCFSの治療法への示唆としては、ドーパミン神経系を標的とする投薬などの可能性が考えられる。

共同研究グループは、今後、CCFSのドーパミン神経機能に着目した治療法の検討が必要と考えられるとしている。

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