財務省案に抗議 全国特別支援教育推進連盟など4団体

緊急アピールを聞く義家副大臣(左)
緊急アピールを聞く義家副大臣(左)

財務省の教職員削減案への抗議として、全国特別支援教育推進連盟(大南英明理事長)、全国手をつなぐ育成会連合会(久保厚子会長)、日本自閉症協会(市川宏伸会長)、日本発達障害ネットワーク(市川宏伸理事長)の4団体が11月17日、義家弘介文科副大臣と面会し、「通級指導の担当教員の基礎定数化に向けた緊急アピール」を読み上げて、基礎定数化実現を要請した。

財務省案が特別支援教育について、海外の事例から増員は必要ないとしたのを受け、同アピールでは、「教育現場のニーズに寄り添おうとしない財務省の考え方は根拠の薄いこと」と批判。

義家副大臣は「たいへん心を痛められたと思う。文科省も(財務省側に)しっかり理解を求めてさまざまな発信をしてきたのだが。学力との相関関係がなかったら費用対効果上、疑念があるとの考え方は間違っている。多くの国民の皆さんは『ハンディキャップを持つ人たちを、皆で応援していこう、学力だけで紋切り型で判断するものではない』と思ってくれていると思う。財政当局とただ対立するのでなく、より心で理解していただけるよう、決着までしっかりと伝えたい」と話した。

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「通級指導の担当教員の基礎定数化に向けた緊急アピール」の全文は次の通り――。

平成二十九年度の概算要求に際し、文部科学省は「「次世代の学校」指導体制実現構想」において『通級指導の担当教員の基礎定数化』を求めています。

通級指導は、小、中学校において、ほとんどの授業を障害のない子どもと一緒に受けながら、週に数時間、障害に伴う学習や生活上の課題を克服するための指導を受けるものであり、個々のニーズに応じた多様な学びの場の一つとして、インクルーシブ教育システムの根幹を担うものです。

通級指導を実施するためには、専任で専門の教員が不可欠ですが、現在は、予算の範囲内で加配されており、ニーズがあっても教員が必ず配置されるとは限りません。基礎定数化することで、通級指導を必要とする子どもたちの数に応じ、きめ細かに対応することが可能となり、教育委員会も、計画的に教員を採用し、育成し、配置することができるようになります。

このため、関係団体としても、その実現を目指し、関係各位にご理解をお願いしてきました。

ところが、過日財務省は、特別支援教育のための教員配置について、「学級規模と学力の相関がみられないこと」や「外部の支援員を活用している例があること」などを理由として、その費用対効果を検証・分析するよう求め、「十年で約四・九万人」もの教職員を削減するという考え方を示しました。

通級指導は、コミュニケーションを取るのが苦手な子ども、発音が上手にできない子どもなど、一人一人の障害の特性とそれぞれが抱えている課題を丁寧に捉え、それを乗り越えるための個別指導や小集団指導を、正規の教育課程の中で行うものです。子どもによって、抱える課題も伸び幅も様々で、効果を数値のみで測ることはできません。ましてや、学力のみで測ろうとすることは障害のある子どもへの理解を欠いていると言わざるを得ません。

通級指導の効果を示すエビデンスが必要であれば、対象児童生徒数がこの十年で二・三倍を超えていることをみれば、その効果が広く実証されていることは、火を見るよりも明らかです。

また、特別支援教育においては、医療的ケアやリハビリテーション、生活上の介助を行う、看護師や理学療法士といった外部専門家や支援員の活躍が不可欠で、政府予算においても手当がなされています。しかし、外部の専門家は教育活動自体を行う方々ではなく、教員に代わる存在ではありません。代替しないのですから「費用対効果を最大化する最適な組み合わせ」など検証しようがありません。

教育現場のニーズに寄り添おうとしない財務省の考え方は根拠の薄いことであり、通級指導の担当教員の基礎定数化を実現し、障害のある子どもたちの教育環境の充実に更なる一歩を踏み出していただくべく、緊急にアピールするものです。

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