養採研一体改革を問う 自主自立は保障されるか

多くの提言が示された
多くの提言が示された

日本教師教育学会と早稲田大学教育総合科学学術院は、「中教審答申で教師教育はどう変わるか」をテーマに、12月4日、東京都新宿区の早稲田大学小野記念講堂で公開シンポジウムを開いた。昨年12月の中教審答申での教員の養成・採用・研修の一体改革(関連3法は11月28日公布)を巡り、研究者が提言。教師の高度化・専門職化の方向性や教科教育と教科教養などの視点から検討が加えられた。

福井大学教職大学院の松木健一教授は、これからの教師教育の視点として、▽職能成長を生涯支える教育機関のあり方▽高度専門職業人の育成▽個人研さん型から学び合う研修への転換▽教委と大学が連携協働した研修システム――を挙げた。

このうち新たな研修システムには、「養成は大学、研修は教委」との、旧態が続く役割分担からの脱却という側面がある。ただ、新システムによる連携指針作成は、地域や大学の自主性、自律性を保障するものか。単に年代ごとの到達目標を羅列した指針になってはいないかが懸念される。教職生活の生涯にわたり職能成長の見通しが持てるグランドデザインを示す必要があるとした。

坂井俊樹東京学芸大教授は、教師教育改革と教科の授業研修のあり方などについて提起。

現在求められている教科指導能力は、「問題解決思考や知識観の転換を踏まえた諸能力の育成」「教科の弾力的運用能力や多教科を融合的に見る視点」と説明。今後は、▽関連諸学問の知見接合▽子供たちの学びの視点▽教師が主体的に考える授業目標観――などの考慮が必要になるとした。中教審答申でも、教職実践力の基礎と新たな教育課題対応力を併せ持った教職課程担当教師の資質向上などが提言されているとした。

これらを踏まえ、教育改革は熱く議論されるのが、現実的な教職課程へのつなぎは考慮されているのか。学ぶ子供たちの視点を大事にした教師教育改革を望むと訴えた。

油布佐和子早稲田大教授は、中教審答申を「教師の養成、採用、研修全てにわたる改革」と説明。その上で、教師の成長や学びの捉え方、大学の役割などについて疑問を呈した。

まず「学び続ける教師」の育成は世界的な潮流と前置き。海外では、教師不足や社会的地位向上のために、高等教育機関ではない養成を経ている状況を改善する方策として、学び続ける教員像が使われているとした。導入の社会背景が異なる中で、日本はどうなのかと問うた。

また日本では「学び続ける」方向や内容が画一的。育成指標に従い、養成から研修までのラダーを作り、固定的な「教師のあるべき姿」のはしごがかけられてしまうと危惧を示した。

教師の「学び」についても、過密な課題提示が重んじられ、クリティカル思考や余裕が与えられていないと述べた。学びの根本は、事象を知識として覚えるだけでなく、構造的な仕組みとして理解する力を高めるもの。現代的な教育課題への対応などが必要な中で、課題提示など外からの刺激学による学習だけでは内容が深まらない。内面から子供の成長を促す沈黙や孤独などを取り入れた学びを展開できる指導力育成の必要性も投げ掛けた。

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